ここから本文です

「W杯に来るLGBTのサッカーファンは、気をつけて欲しい」ロシアで最も有名なゲイの運動家が語る

6/14(木) 16:09配信

ハフポスト日本版

ロシアのエンターテイメント番組“Angry Guyzzz“の収録直前、番組ホストのアントン・クラソフスキー氏はセット裏で、一杯のウィスキーを素早く飲み干した。

ロシアの同性カップルが抱える闇とは 世界報道写真の大賞(画像集)

番組のゲストは、モスクワに住むトランスジェンダーの人たち。クラソフスキー氏には、番組の最後で伝えたいメッセージがあった。

■ 私はゲイです

人生で最も重要なメッセージと言っても過言ではないその言葉は、その後彼の人生をずっと付いて回ることになる。

クラソフスキーは番組の終わりに、まっすぐカメラを見てこう言った。

「私はゲイです」

「そして同時に、私はあなたと何も変わらない人間です。視聴者のみなさんやプーチン大統領、メドヴェージェフ首相、ドゥーマ(ロシアの国会)のメンバーと何も変わらない人間です」


スタジオで、ゲストと話すアントン・クラソフスキー氏
これはロシアの著名人による、プーチン政権下のロシア国営テレビでの初めてのカミングアウトだった。彼の後にカミングアウトした著名人もいない。同性愛を病気とみなし、ゲイやレズビアンの人たちを投獄するロシアの権力に、真っ向から立ち向かう言葉だった。

その日の夜、クラソフスキー氏は番組ホストの職を失った。彼のプロフィールはテレビ局のウェブサイトから消され、“Angry Guyzzz“は全て、同局のオンラインメディアライブラリーから消去された。まるでそんな番組は存在していなかったかのように。

■ 同性愛嫌悪に対して声を上げる

これは5年前の出来事だ。

そして私は、現在48歳のクラソフスキー氏にモスクワ中心部のカフェで会った。彼は3日間伸ばしたひげをたくわえ、白のシャツに濃いブルーのスーツを着ていた。一緒にいるのは、彼のYouTubeチャンネルのためにクラソフスキー氏の全動向を撮影するカメラマンだ。

1カ月前に、クラソフスキー氏は9月9日に行われるモスクワ市長選に立候補することを表明していた。行政機関が、彼の立候補を認めるかは不明だったが、たとえ認められても決して勝利しないだろうとクラソフスキー氏は考えていた。

しかし立候補は、ヨーロッパで最も同性愛嫌悪が強い国であり、サッカーワールドカップで世界中からの注目を集めるロシアに対して、彼のメッセージを伝えるものでもある。

近代的なロシアの首都モスクワでも、同性愛はタブーだ。新聞売り場で新聞をクレジットカードで買えても、男性同士が路上でキスをすると、警察や右派のフリーガンのような団体に殴打される。そしてレインボーフラッグが焼かれる。

1/3ページ