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かこさとしさん追悼の企画展、原点の川崎であすまで

6/14(木) 9:24配信

カナロコ by 神奈川新聞

 5月に92歳で亡くなった絵本作家で児童文化研究家のかこさとしさんを回顧する企画展「川崎市ゆかりの絵本作家かこさとし展~川崎(ここ)から」が13日、中原区上小田中のエポックなかはらで始まり、当時の子どもや多くのファンらが訪れている。川崎はかこさんが絵本作家を志した原点の地。40年ほど前に描かれた、製鉄所での作業工程などを描いた作品の複製原画も初公開されている。15日まで。入場無料。

 かこさんと生前、親交のあった北野書店(幸区)の主催で、市学校図書展示会に合わせて開いた。物語以外に、科学や天体、社会関係の知識絵本なども自ら取材しながら描いたことで知られる、かこさん。自宅にあった、川崎製鉄千葉製鉄所(現JFEスチール東日本製鉄所千葉地区)の溶鉱炉で作られた真っ赤な銑鉄(せんてつ)や工場夜景などを描いた絵本「できるまで・とどくまで『鉄』」や、光触媒の発見で知られる藤嶋昭さんの研究を紹介した絵本「太陽と光しょくばいものがたり」などの複製原画約20点を展示している。

 かこさんが1956~70年、現在の幸区古市場で暮らし、工場労働者の子どもたちを支援するセツルメント活動をしていたころの写真や、自ら描いた地図や活動内容などのパネル展示、インタビュー映像も流している。「からすのパンやさん」や「だるまちゃん」シリーズなどの書籍約300冊も並び、来場者らは懐かしそうに手に取っていた。

 会場には小学3~5年のころ、妹と同セツルメントのこども会に通っていた吉田勤さん(72)の姿も。「父親が日本鋼管(現JFEスチール)の2交代勤務で、昼間寝るから外にいるように言われた」のが、セツルメントを通してかこさんと出会ったきっかけと明かし、「かこ先生は兄貴のようで優しかった。ガリ版刷りを手伝ったりして、居場所を作ってもらった。3年前に60年ぶりにお会いした時は涙が出て声が出なかった」と懐かしんでいた。

 同書店の北野嘉信社長も「かこ先生の作品は、時代と世代を超えて愛され、読み継がれてきた。その原点となったのは、ここ川崎でのセツルメント。子どもたちとのふれあいは、子育ての『教場』であり、生きる希望を与えられたとおっしゃっていた」振り返る。「そんな当時の思い出を展示を通して振り返ってもらい、かこ先生の『絵の力、ことばの力、本の力』を体感してほしい」と呼び掛ける。展示会は午後1時~7時まで(15日は午後5時まで)。問い合わせは同書店電話044(511)5491。