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『Bloodstained: Ritual of the Night』の五十嵐孝司氏に聞く、納得のいく操作感をぎりぎりまで目指して【E3 2018】

6/15(金) 0:02配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:古屋陽一

いよいよ完成間近のようです

 2018年6月12日~14日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスはコンベンションセンターにて、世界最大規模のゲームイベントE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2018が開催。ミーティングエリアに設けられた505 Gamesのブースで、五十嵐孝司氏が手掛ける2Dアクションゲーム『Bloodstained: Ritual of the Night』を試遊する機会があった。2015年のKickstarter成功により開発がスタートしてから3年。5月にはKickstarterで開発が約束されていた8bitテイストの『Bloodstained: Curse of the Moon』(開発インティ・クリエイツ)もリリースされ、いよいよ『Bloodstained: Ritual of the Night』への期待も高まるところだが、E3 2018ではゲーム本編を冒頭からがっつり遊べるバージョンをマスコミ向けに披露。完成間近であると思わせた。




 実際に試してみた『Bloodstained: Ritual of the Night』の手触りは快適で、丹念に作っていることがうかがわれる。2.5次元のグラフィックも心地よい。世界観の構築ぶりも見事で、冒頭からいきなりゴシックの世界に引き込まれる。世界観づくりに大きく寄与していると思われるのが、声優さんの存在。声優には、ミリアム役に小清水亜美さん、ジーベル役に白川周作さん、ヨハネス役に興津和幸さん、ドミニク役に水橋かおりさんなど、そうそうたるキャスト陣が起用されているのだが、とにかく皆さん達者で、ぐいぐいと引き込まれる。

 と、ホクホクしながら部屋を出たところで、五十嵐孝司氏とばったり。立ち話もなんですが……ということで、ちょっとだけお話を聞いてみた。



――今回試遊させていただいたのですが、ほぼ完成しているような雰囲気ですね。

五十嵐 序盤は。まだ、全部ができているわけではなくて。アセット(素材)などはほぼ揃っているのですが、まだまだやらなければならないことはあっって、まだ完全に全部完成しているわけではないです。

――進捗はどうなのですか?

五十嵐 “終盤”としか言いようがないですね。もう修羅場です(笑)。いまこうしているあいだにも、阿鼻叫喚な感じでしょうか……。

――だいたいどれくらいにリリースされるといったメドは?

五十嵐 それに関しては、もうちょっとあとになると思うのですが、リリース日を発表させていただけるかと。だいたいのメドは立ってきた感じでしょうか。

――実際に遊ばせていただいて、さすがの手触りでした。そのへん手応えは?

五十嵐 まだまだですね。もう少し足りていないです。気になるところが何箇所があるんです。たとえば、“バックステップがこのタイミングで入らない”とか。本当に細かいところなのですが、そういうところを僕はすごく大事にしているので、もうちょっと。もうちょっとなんです。

――そのへんの調整は五十嵐さんがみずから?

五十嵐 僕もやるのですが、メインは僕とずっとタイトルを作ってきたプランナーが担っています。彼の想いと僕の想いを合わせてやっています。

――その調整というのは、どのような方針のもとに?

五十嵐 まず快適に遊べるということがいちばん大きいのですが、ただ、ゲームってすべてが快適であっていいわけではないんですよね。ちょっとだけストレスがあったほうがいい。快適さだけを追求していくと、ゲームはすごく簡単になっていきますよね。そうすると敵がどんどん難しくなって、固くなってしまう。僕はそういうのを望んでいないんですよ。敵は柔らかくてもよいのですが、操作は快適なんだけど、ちょっとしたストレスがあって、敵の難易度が適正になるといったようなものを目指しています。だから、ストレスのかけかたをどうするのか、という点では意見が割れたりもします。

――その匙加減は、五十嵐さんとしては絶対に譲れないポイントであると?

五十嵐 僕もメインプランナーも、自分で“こういうもの”というこだわりは持っているので、そこの意見のぶつけ合いをしながら、最終的にはどう落ち着けるかという感じですね。

――たとえば、具体例としてはどのようなものが?

五十嵐 ジャンプの軌道とかが、「ここでもうちょっと止まったほうがいいよね」、「いや、ここはもうちょっと早いほうがいいよね」ということで、意見が割れたりするんですよ。

――なかなかデリケートなところですね。そこは完成直前まで調整する?

五十嵐 あんまり変えられないんですけどね。といいますのも、ジャンプとかを変えると移動距離や飛べる幅が変わってしまう。それは絶対に変えないようにはするのですが、それによって難しくなったりするところもあるので、ある程度決めてしまわないけといけない部分もあるのですが、日々調整はしています。


――あと、プレイして、すぐに世界観が引き込まれました。

五十嵐 ありがとうございます。いままでのフランチャイズ系のタイトルって、「ハンターがいる、敵がいる」という構図があるので、わりと説明はしやすいんですね。「狩る人と狩られる人がいます。だからこういう話です」みたいな感じになる。あるいは、「ハンターが仕事だから」というような。それが本作はで戦う人にも理由があるんです。本来であれば、主人公にしても、周りをとりまく人にしても、すべて何かしらの目的があって、モチベーションが全員あるはずなんです。そのモチベーションが途切れてしまうと、そのキャラクターって、そこに存在する意味がなくなってしまうので、キャラクターのモチベーションというのをしっかりと維持したまま、最後まで持っていけたかなと思っているので、そういう意味ではよかったのかなと。

――それだけ完全なものを作りたいということでしょうか?

五十嵐 完全なモノを作るという感覚はあまりなくて、ゲームのシナリオは全部ゲームのものだと思っています。いちばんのポイントは、プレイヤーがキャラクターの持っているモチベーションに共感できれば、そのキャラクターに感情移入できるじゃないですか。そんな感じです。

――そういう意味で、どのキャラクターがとくにうまくいったというのはありますか?

五十嵐 なかなか難しいご質問ですが、そういう意味でいえば、ミリアムでしょうか。主人公でもありますし、ちゃんと表現できていたらいいのですが……。

――ミリアムはボイスも素敵ですよね。声を聴くだけでも一気に世界観に引き込まれます。

五十嵐 今回ミリアムは小清水亜美さんにお願いしたのですが、やっぱりいい声優さんに演技をしていただくと、僕が書いたシナリオが何倍にもよくなるんですよ(笑)。いつもながらありがたい話です。これは、かつて恋愛シミュレーションゲームを作ってきたときからそうだったのですが、僕の作ったシナリオは、毎回「陳腐だなあ~」と思うのですが、生命を吹き込んでもらうと、途端によくなるんですよ。

――そうなんですか?

五十嵐 いまはちゃんとそれを仕事にしているので、プロとしての自覚はありますが、もともとは僕はプログラマーで、シナリオを書く人ではなかったので、そういう意味では素人くさいシナリオをいまだに書いているのかな……という気はします。

――冒頭のミリアムとヨハネスの掛け合いも、なんか引き込まれましたけどね。

五十嵐 ヨハネスは、「ちょっとヘタレな感じでお願いします」ということでリクエストさせていただいたので、いい感じになっているにかなと思います。ボイスは世界を作るには、役立ってもらっています。


――声優さんはどのようにして決めたのですか?

五十嵐 ある程度こちらで希望を出して決めました。最終的にはボイスサンプルを聴かせていただいて判断したのですが、小清水さんの声を聞いて、この方が……ということで決めました。ミリアムというキャラクターは生い立ちを考えると、見た目も含めてわりとクールな印象があるのですが、もうちょっと感情表現豊かな感じで、ちょっとおもしろいお茶目な部分もあるようなキャラクターにしたかったんですね。そういう意味ではすごく適任かなと。

――今回の体験版では、けっこうなボリュームが楽しめますね。

五十嵐 今回のデモでは、ほぼほぼキャラクターが出揃ったものを体験していただけます。ミリアムがいて、ヨハネスがきて、そこにジーベルという敵がやってきて、ジーベルの側近にグレモリーという悪魔がいて、そこにアンという女の子が襲われていて、ドミニクが助けに入ってという。で、アルフレッドというヨハネスの師匠で、10年前の事件を起こした錬金術師が出てきて、最後に侍がサムライが出てくるという。どんなキャラクターが出てきて、どんな役割をもっているかがだいたいわかります。

――けっこうなボリュームですね。

五十嵐 もともと今回は、ショウでお披露目する体験版というには向いてないビルドなんですね。長いんです。ただ、冒頭の部分をしっかりと体験していただきたかったんです。チュートリアルな世界観も含めてひととおり触れることができるので、それを体験していただきたいなと。実際に触ってもらった海外のメディアさんには、おおむね高い評価をいただけているようです。

――最後に、発売を心待ちにしている日本のゲームファンに向けてひと言お願いします。

五十嵐 今回、E3で出したビルドはデーターバッカーデモという形で、60ドル以上出資してくださったバッカーの皆さんに体験していただいて、フィードバックをいただくために作ったものでもあります。要はそこまでできているくらいまで、開発が進んでいますので、ぜひ楽しみに待っていてください。体験版は6月21日に配布されることになっています。

最終更新:6/15(金) 0:02
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