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電力消費は生活の鏡、分電盤が電力ビッグデータの窓口に

6/15(金) 7:10配信

スマートジャパン

 電力自由化に伴い、さまざまな企業がエネルギーに関連した新しい家庭向けサービスの開発を加速させている。その中で注目されているのが、住宅における電力使用状況といった生活者のデータだ。画一的でない、各家庭・個人の生活スタイルに寄り添ったサービスを開発する上で、有用なデータとして注目されはじめている。

 「電気の動きというのは、人の行動そのもの。われわれは人、家庭に関わる情報を電気の視点で捉えて可視化し、新たな価値創出や利用者の生活を下支えする仕組みを提供していく」

 こう話すのは、東京電力パワーグリッド(東電PG)の子会社で、エナジーゲートウェイ(東京都港区)の代表取締役社長を務める林博之氏。同社は住宅向けサービスの開発を目指す企業に対し、住宅における電力使用状況などの収集・解析サービスなどを手掛ける。2018年6月13日に会見を開き、今後の事業戦略について説明した。

ソニー発のAI技術で電力を“聞き分け”

 エナジーゲートウェイは2018年2月に東電PGの100%子会社として設立。エネルギーサービスを開発する企業に対し、住宅内における電力使用状況などのデータ収集・分析・加工サービスの提供や、システム開発事業などを手掛けている。

 同社が大きな強みとするのが、同社が5月に出資比率40%で第三者割当増資を実施した、AIベンチャー企業インフォメティスの「機器分離技術」という技術だ。これは住宅の分電盤の主幹に取り付けるセンサーで取得した住宅全体の電力使用状況から、家電ごとの電力消費データを抽出できるというもの。個別にセンサーを取り付けることなく、エアコン、冷蔵庫、掃除機などの各家電が、いつ、どのくらい使われているのかを分析できる。こうした家電の使用状況が分かれば、生活行動なども類推できる。

 機器分離技術では、分電盤の主幹から得られる電流の波形を画像として認識し、その情報と、各家電が持つ特有の波形パターンの情報を持つアルゴリズムを利用して、電力消費量を類推している。インフォメティスの代表取締役社長を務める只野太郎氏は「機器分離技術は、電流を“聞き分ける技術”。分電盤の主幹に1つのセンサーを取り付けるだけで分析が行えるため、一般的なHEMSと比較してコスト面で非常に有利。施工も最短15分程度で行える。10年前の炊飯器でも見分けることが可能だ」と話す。同社はソニーのR&D部門からスピンアウトした企業で、家電ごとの電力消費量の類推にAIを活用しているという。

 エナジーゲートウェイは、機器分離技術を活用したデータ収集の仕組みを、住宅向けのサービス開発を手掛ける企業に提供していく考え。サービス内容に合わせた収集データの加工なども行う。例えば、宅内の家電の使用状況から、人の在不在や異常状態を把握することによる警備・見守りサービス、家電の買い替え提案やリコール製品を検出するといったメーカー向けのサービス、エネルギーマネージメント分野などでの利用を想定しているという。

 既に東京電力エナジーパートナー、大和リビング、大東建託などへの提供実績がある。今後は2020年度をめどに、100万世帯に同社の機器分離技術を活用したセンサーの導入を目指す方針。「将来的には社会基盤の一部となるような、オープンなプラットフォームを提供していきたい」(林氏)