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<消防団>ポンプ車、使えなくなる? 道交法改正で困惑

6/15(金) 9:19配信

毎日新聞

 ◇中型免許が必要 団員確保懸念

 消火活動に使うポンプ車の多くが、道路交通法改正(昨年3月施行)後に普通免許を取得した人が運転できず、茨城県内の消防団が頭を抱えている。改正を受けて運転できる車両が総重量5トン未満から3.5トン未満になった一方、3.5トン未満でポンプ車に水槽は付けられず、3.5トン以上が主流のためだ。消防団の若手不足が深刻な中、新規入団者に準中型免許の取得を義務付けるのも難しく、「どうしたらいいか」と困惑している。【吉田卓矢】

 今月2日、常総市内のある自治会で臨時総会があり、消防団が使う水槽付きポンプ車の更新について話し合った。しかし「3.5トン未満にするべきではないか」「それでは水槽が付けられない」と、議論は平行線をたどり結論は出なかった。同市消防団では現在、ポンプ車を中心に消防車を計23台運用する。しかし全車が3.5トン以上で、改正後の普通免許では運転できない。さらにうち4台が来年度、20年に1回の更新時期を迎えるため、判断を迫られている。総会に参加した元消防団員の男性(55)は「目前の火災には水槽付きの方がすぐに対応できるのだが、普通免許で乗れなくなれば将来問題になる」と話す。

 総務省消防庁によると、昨年4月時点の全国の消防団車両は5万1381台。このうち3.5トン以上5トン未満は1万7211台で約3割を占める。

 消防車製造の国内大手「モリタ」(本社・兵庫県三田市)によると、3.5トン未満でポンプ車に水槽を付けるのは技術的に難しいという。道交法改正を受け、同社は今年5月、普通免許でも運転できる3.5トン未満のポンプ車を開発した。しかしホースを消火栓につないで水を引く必要があり、水槽付きのポンプ車より初動が遅れる危険性がある。それでも、同社広報室によると、既に何件もの問い合わせが寄せられており、需要が見込まれているという。

    ◇

 消防団の新規勧誘への影響も懸念されている。少子高齢化もあり、消防団の団員数は全国的に減少している。1956年は約180万人だったが、90年に100万人を割り、17年には85万331人にまで減った。勧誘への影響が国会でも取り上げられ、運転手だけでなく、消防団員の確保自体が懸念されている。

 常総市でも消防団員数は定数470人に対し、現在421人。同市防災危機管理課の担当者は「団員確保が難しくなる中、団員らに負担は求められない。全国的な問題なので、国できちんと対応してくれればありがたい」と苦しい胸の内を話した。

 総務省消防庁は今年1月、15万円程度かかるという準中型免許などの取得費用の助成制度や、総重量3.5トン未満の消防車の活用を求める通知を都道府県や政令市に出した。

 さらに助成費用の一部を特別地方交付税で手当てする方針も示したが、負担割合などの詳細は現在も決まっていない。

 そのため独自の助成制度を設ける自治体は少なく、県内でも高萩市と城里町、八千代町の3市町にとどまる。

 「消防団員が消防車を運転できなくなる。頭の痛い問題だ」

 12日の県議会防災環境産業委員会で、飯田智男県議(自民県政クラブ)が県の対応をただした。しかし県の担当者は「助成制度を設けるよう各市町村に求める」などと話し、国の通知に沿った回答にとどめた。

最終更新:6/15(金) 9:50
毎日新聞