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<事故>スーパーに車 容疑者、数日前から「頭ぼーっと」

6/15(金) 9:31配信

毎日新聞

 ◇脳内出血も確認

 群馬県渋川市行幸田のスーパー「とりせん渋川店」で乗用車が店内に突っ込み、客や従業員計15人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕された無職の男性(55)=渋川市=が、事故の数日前から「頭がぼーっとしていた」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。事故後の病院検査で脳内出血が確認された。

 前橋地検は男性の体調を考慮し、12日に男性を釈放した。県警などは今後、男性が何らかの病気を発症して事故を起こした可能性も視野に捜査を進める。

 渋川署によると、男性は10日午後4時ごろ、「とりせん渋川店」で買い物をしてワゴン車で帰宅しようとしたところ、駐車場から店の出入り口に突っ込んだ。店の中を15メートルほど暴走し、客や従業員をはね、レジカウンター付近で止まった。男性は「右半身がしびれてアクセルを踏み込んでしまった」と話しているという。

 男性の症状について、東海大医学部付属八王子病院(東京都)の小田真理教授(脳神経外科)は「事故前に頭がぼーっとしたというのは血圧が上昇したと考えられる。その結果、血管に負担がかかり出血があったのだろう。半身のまひは脳内出血の典型的な症状」と脳卒中の可能性を指摘する。

 ◇車どめポールの想定外 対策の再検討も

 運転ミスなどによる“暴走車”が店舗に突っ込む事故が後を絶たない。スーパーやコンビニエンスストアでは安全策として、店舗と駐車場の間に車止め用の金属製ポールを設置する店舗が増えているが、今回の事故のように出入り口からの突入は「想定外」だったため、対策を再検討する動きも出ている。

 「社会的関心の高まりから、ここ3、4年で注文数が増加している」。車止め用ポールの大手メーカーの担当者によると、発注元はスーパーやコンビニ店、物流センターなどさまざま。最近、コンビニ店などに車が突っ込む事故が全国で毎日数件起きていることが背景にあるとみられる。

 コンビニ店やスーパーからの発注が多いサイズのポールは一つ10万~20万円ほど。

 10日の事故現場の「とりせん渋川店」でも、高齢者や障害者向けの駐車場とガラス壁の間に、車止めのポールが設置されていた。スーパーの運営会社の担当者は「高齢者などの誤発進を想定していた」と説明する。他店舗でも同様の事故防止策を講じている。

 しかし、今回車が突っ込んだ出入り口付近には設置されていなかった。担当者は「出入り口は人の出入りもあり設置すれば邪魔になる。何よりも、入り口に車が突っ込むことは想定していなかった」と困惑する。今回の事故を受け、同様の事故が起こりえる店舗については対策を検討中という。

 県内に拠点を置く別の大手スーパーの担当者も「出入り口はカートを利用する人がすれ違えるほどのスペースは最低限確保する必要がある。出入り口の事故対策は今後のスーパーの店舗設計の課題になる」と話す。

 ポールの設置は義務化されておらず、事故対策については店ごとの自主的な判断に任されているのが現状だ。県によると、今後、何かしらの対策を規定する予定はないという。

【西銘研志郎】

最終更新:6/15(金) 9:31
毎日新聞