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早大政経学部が共通テスト導入「数学必須」にしたウラ事情

6/15(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 早稲田大が政経学部の2021年年度入試から「数学」を必須科目にすると発表し、注目を集めている。「センター試験」に代わって同年1月から実施される「共通テスト」を導入するという。

「これまでの入試でも日本史、世界史より数学受験の割合が一番多いことも背景にあります。本学の入試改革説明会に出席した政経学部の教授は、『政経学部の数学の入試問題は特有のものが多くて難しい。受験生の負担を減らすためにも共通テストの導入を』と話していました。また、社会のニーズとして政治や経済の分野で統計学の重要性が高まっているので、数学Ⅰ・Aを学んできた学生を求めています」

 早大広報担当者はそう説明するが、初めて“数学必須”に踏み切ったのには、他にも理由がありそうだ。

 早大政経学部は言わずと知れた私大文系の“最高峰”だが、最近は同学部生の学力低下を指摘する声もある。

「早稲田に限らず慶応、同志社などの難関大でも20年ほど前から、学生の“数学力”の低下が見え始めていました」と、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏がこう続ける。

「新しいようで昔から議論されている問題です。数学を必須にしたのは、ひとつは学生の学力不足が看過できないレベルに来ているから。もうひとつは、地方の中堅国公立大と併願する受験生を増やしたいからです」

 東京の大学は“ローカル化”が進んでいる。文科省の「学校基本調査」によると、都内の大学に入学した首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の高校出身者は2007年度には63・8%だったのが、17年度には68・2%まで増えている。裏を返せば、それだけ地方出身者が減ってきているのだ。

「とりわけ早稲田をはじめ、首都圏の私立大は地方出身者がかなり減少しています。その一方で、地方ではこの20年で地元の国公立大志望者が増え、文系クラスでも数学を勉強している。数学を必須にすることで、そうした地方からの受験生が増える可能性が高まる、というわけです。ただ、わざわざ上京して受験となると、地方の受験生は二の足を踏む。早稲田は地方入試を導入していない数少ない大学だけに、数学を必須にするだけで受験生が増えるとは思えません」(前出の石渡嶺司氏)

 ちなみに“ライバル”慶応大経済学部の19年度入試の募集人員は、数学受験のA方式が420人、社会科受験のB方式が210人と、数学重視は明らかだ。

「早稲田が数学必須に踏み切ったのは、ウチに押され気味という焦りもあるのでは」(慶応大関係者)

 前出の早大広報担当者は「多様性という本学の特徴を維持するために、地方出身の学生に来てほしい」と言うが、果たして……。