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<横浜税関>不正薬物の上陸阻止 昨年の押収量過去最高

6/15(金) 9:42配信

毎日新聞

 ◇分析部門 目付き鋭く「間違い許されぬ」

 横浜税関で、覚醒剤や大麻など不正薬物の押収量が増えている。昨年の摘発件数は364件、押収量は全国の約60%に相当する約851キロと、過去最高を記録した。こうした不正薬物の上陸を水際で食い止めるのが、成分分析で不正を科学的に裏づける分析部門だ。職員は連日、管内で差し止められた粉末や錠剤などの分析に追われている。【堀和彦】

 5月下旬、横浜市神奈川区内にある横浜税関瑞穂分庁舎の一室。冷温管理された部屋の中には、特殊な質量分析計が並ぶ。DNA分析の専門機材もある。張り詰めた空気の中、白衣を着た職員がピペットに目を注ぐ。部屋では数人の職員が黙々と作業していた。

 この日、午前中だけで既に10件ほどの分析依頼があった。統括分析官の勅使川原尚行さんは部下の作業を見てまわり、次々とアドバイスを送る。「大麻系オイルの成分がちょっと出ている」。目つきが少し鋭くなった。

 大学では化学を学んだ勅使川原さんは、分析部門を担当して通算12年目になる。分析作業は昔と比べて機械化が進んだという。だが「機械にかけるまでの成分抽出や試料づくりにはノウハウが必要」と話す。

 サンプルを調整して作る試料次第では、機械にかけても正確な分析結果を示さないこともあるといい、勅使川原さんは「職人的なところがあり、間違いは許されない」と断言する。依頼の中には「泳がせ捜査」や受取人の逃亡など一刻を争うケースも多く、素早く正確にこなすのも、職員の腕の見せどころだと語る。

 横浜税関は、日本に届く国際郵便物の約9割を扱う川崎外郵出張所(川崎市川崎区)を抱える。昨年の全国の国際郵便物の不正薬物の約7割にあたる357件が同出張所で摘発された。分析部門では10人ほどの職員で分析を担う。数年前までは海外からの危険ドラッグの分析に忙殺されたが、最近は覚醒剤や大麻、MDMAなどに回帰しているという。

 分析部門の業務は、不正薬物の他に、輸入貨物の分析の二本柱だ。貨物のサンプルを分析し、関税率を決める重要な業務で、飲料水から石油まであらゆる貨物が対象となる。勅使川原さんは「貿易の円滑化、適正な税の徴収が使命」と話す。

最終更新:6/15(金) 9:42
毎日新聞