ここから本文です

舞台や展覧会、テクノロジーで演出 チームラボ、ライゾマティクスが仕掛ける体感型イベント

6/15(金) 7:00配信

SankeiBiz

 遊びとテクノロジーが融合した「学ぶ! 未来の遊園地」などを世界で仕掛けるチームラボ(東京都文京区)、光や映像を使ってライブやイベントを演出するライゾマティクス(東京都渋谷区)が、舞台や展覧会とコラボレーション。プロジェクションマッピングなどのテクノロジーを使って今までにない公演や展示を作り出している。和太鼓の演奏会では映像によって季節や場所が次々に変化し、建築の歴史をたどる展覧会では光と映像でさまざまな建築物をよみがえらせる。

 ■自然の美、ステージ上に投影

 和太鼓エンターテインメント集団として世界で活躍するDRUM TAOが出演して、東京・有楽町のオルタナティブシアターで6月20日まで開かれているステージ「万華響-MANGEKYO-」。大小さまざまな和太鼓や琴、笛などの和楽器によって、森や庭園といった日本ならではの自然の美が表現されている。ここで使われているのが、チームラボによる映像演出だ。

 木々が茂った太古の森や庭に舞い落ちる桜の花びら、しぶきを上げる荒波といった自然が、プロジェクションマッピングによってステージ上に投影される。開幕前日の5月18日に開かれたゲネプロに登壇した、DRUM TAOで演出を手がけるフランコドラオ氏は、今回のステージで「日本の美しい風景や美術を日本の音楽で表現したい」と考えたことを明らかにした。その実現に向け、内外での活動を見ていつかコラボレーションしたいと思っていたチームラボに依頼した。

 チームラボでは、映像演出を担当したチームラボの寺尾実氏が、「僕たちの映像技術で空間を包んで世界を作っていく」ことを模索。プロジェクションマッピングを使い、ステージ上をまったく違う場所へと変貌させようとした。実際のステージでは、まず半透明の幕に龍が飛ぶ幻想的なシーンが繰り広げられ、続いて森の中で太鼓や琴が響き、巫女が舞うシーンへと変化して観客を太古の自然へと誘う。

 その後、舞台の背後や、舞台の両脇に設置されたスクリーンにさまざまな映像が投影されていくステージは、滝のように水が流れ落ちる空間、荒波がぶつかりあってしぶく空間、雪がちらつく空間へと様相を変えていく。そうした空間に合わせるように、DRUM TAOのメンバーたちが入れ替わるように登場し、大小さまざまな形の太鼓を叩き、笛を吹き、琴を鳴らし、舞も入れて日本の豊かな自然を表現する。

 衣装は日本を代表するファッションデザイナーのコシノジュンコ氏が手がけた。これにDRUM TAOによる和太鼓のパフォーマンスと、チームラボによるテクノロジーを使った演出が合わさって作り出されたステージは、日本の自然、音楽、技術、ファッションを世界にアピールするものと言えそうで、今後の広がりにも期待がかかる。

 ■テクノロジー、展覧会に新しいエッセンスをもたらす

 4月25日から始まり、9月17日まで六本木ヒルズ森タワー53階にある森美術館で開催中の展覧会「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」でも、テクノロジーが展覧会に新しいエッセンスをもたらしている。出雲大社の古代の姿を想像して再現した模型や、千利休が豊臣秀吉のために建てた茶室を再現したものが並ぶ展覧会場の一角に置かれた「パワー・オブ・スケール」というインスタレーション作品がそれにあたる。

 少しだけ高くなった場所には、細い透明の棒が何本か立ち、空間や床面に線のようなものが張り巡らされているだけで、物体は何も置かれていない。ここに映像の投影が始まると、光る線によって空間が区切られ、さまざまな部屋が浮かび上がってくる。街中に立っていた電話ボックス、黒川紀章設計による中銀カプセルタワービルの一室、東日本大震災の際に避難した人たちが寝起きした段ボールで区切られた空間、プレハブ住宅、表参道にあった同潤会アパートなど。建築史に残る建物や社会的に重要な空間が、光る線と映像によって原寸大で再現される。来場者は美術館にいながらにしてそれらの空間を体感できる。

 手がけたのはライゾマティクス・アーキテクチャーとディスプレイ大手の乃村工藝社(東京都港区)。ライゾマティクスはPerfumeをはじめとしたライブエンターテインメントを手がけるライゾマティクス・リサーチの活動が知られているが、ライゾマティクス・アーキテクチャーでもテクノロジーを使った空間デザインの仕事を多く担当。部門を見ているライゾマティクス代表取締役の齋藤精一氏自身も、ミラノエキスポ日本館シアターコンテンツディレクターを務め、2020年のドバイ国際博覧会では日本館クリエイティブ・アドバイザーを務める。

 ■メディアアートの文脈にいる人間として考案

 この齋藤氏とライゾマティクス・アーキテクチャーが、空間ディスプレイの仕事だけでなく、お台場の“実物大”ガンダム立像などテクノロジーを活用した新しい展示物制作も手がけ始めている乃村工藝社と組んで作り上げたのが、「パワー・オブ・スケール」という作品だ。齋藤氏によれば、出展の依頼を受けて「メディアアートの文脈にいる人間として何ができるか」を考え、光や映像で様々な建築物を再現する展示を考案したという。結果、「建築を立体として感じていただける」作品になったとアピールする。

 ライゾマティクス・アーキテクチャーと乃村工藝社では、「パワー・オブ・スケール」以後も、「NOTORA(ノトラ)」というチーム名でさまざまなクリエイティブ活動をコラボレーションしていく予定。展示会での出展物や建物の空間デザインなど、多彩な分野で両社の持ち味が発揮されていくことになりそうだ。

最終更新:6/15(金) 7:00
SankeiBiz