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まるで借金のよう「睡眠負債」自覚なく 通勤電車や会議で居眠り…重大事故引きこす恐れも

6/15(金) 8:12配信

西日本新聞

【産業医が診る働き方改革】<6>

 高木智さん(49)=仮名=はここ数年の定期健康診断でいつも血圧高め、血糖値や体格指数(BMI)など糖尿病リスクを示す値もやや高め。会社の保健師の健康指導を受けています。

⇒【画像】健康診断で高血圧の疑い…産業医が考える4つの対策

 仕事は製造業(従業員数700人)の事務。健康のため、食生活や運動などに気を使っているのですが、この調子では治療が必要になりかねないと、少し心配になっているところです。

 自分と同じように「血圧高め、健診結果もボーダーラインぎりぎり」という同僚が、妻に大きないびきを指摘されて睡眠クリニックを受診。睡眠時に筋肉が緩んで気道がふさがれて呼吸が止まってしまう「閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸」と診断されました。同僚は睡眠障害の治療を始めてから、健診結果が改善したそうです。ただ、高木さんはいびきもかかないし、自分に睡眠の問題は関係ないだろうと考えていました。

糖尿病やうつのリスクも

 実は、高木さんのように明らかな睡眠障害はなくても、健康や仕事に悪影響を及ぼす睡眠の問題があります。昨年の新語・流行語大賞でトップテンに選ばれた「睡眠負債」です。睡眠負債とは、必要な睡眠時間に対し、実際の睡眠時間が不足している状態が続き、その結果、まるで借金のように心身への悪影響が積み重なっている状態です。

 高木さんも通勤電車や会議の席で居眠りすることが多く、日中も決して仕事の効率が良いとは言えない状況でしたが、本人に自覚はありません。もし危険を伴う作業中に居眠りしてしまうと、重大な事故を引き起こす恐れもある状態です。

 睡眠時間7時間を基準とした場合、基準より短ければ短い人ほど死亡率が高く、女性の場合は肥満のリスクも高まることが報告されています。糖尿病やうつのリスクなども同じ傾向があるとされ、睡眠時間が短い人は仕事の効率が低下したり、ミスが起こりやすくなったりするだけでなく、心身の健康もむしばまれているのです。

 高木さんは、健康管理室の勧めで産業医と面談しました。次回(3月12日掲載)は、睡眠負債を軽減するための産業医のアドバイスを紹介します。

 (藤木通弘=産業医大教授)

西日本新聞社

最終更新:6/15(金) 8:12
西日本新聞