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記憶保存の仕組み解明 富山大井ノ口教授ら

6/15(金) 0:31配信

北日本新聞

■認知症治療に期待

 富山大大学院医学薬学研究部(医学)の井ノ口馨教授とカリム・アブドウ特命助教らの研究チームは、さまざまな記憶を結び付けて知識を形成している脳が、どのようにして一つ一つの記憶を正確に保存しているのかを、世界で初めてマウスの実験で明らかにした。記憶の保存は認知症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)に密接に関わっており、予防や治療への応用が期待される。15日付の米科学誌サイエンス電子版で発表した。

 マウスに電気ショックと同時に高低2種類のブザー音をそれぞれ聞かせる実験を実施。感情を伴う記憶を蓄える脳の器官である「扁桃体」では二つの音を結び付けて記憶していたのに対し、音情報を処理する「聴覚野」では二つの音が区別されていた。さらに扁桃体と聴覚野は、神経細胞をつなぐ「シナプス」を介して個々の記憶をやりとりしていることを突き止めた。このことから、脳はシナプスを使い分けることで記憶を区別して保存していることが分かった。

 認知症やPTSDでは、記憶の混同によって正しい記憶を思い出せない場合や、記憶同士の結び付きが強いためにフラッシュバックが起こる場合などがある。井ノ口教授は「シナプスを使い分ける能力を取り戻す方法があれば、根本的な治療も可能になる」と話した。

北日本新聞社

最終更新:6/15(金) 10:05
北日本新聞