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クレディセゾン社長、「よい結果を出せれば、遊んでいてもいいんですよ」

6/17(日) 15:02配信

ニュースソクラ

「わが経営」を語る 林野宏クレディセゾン社長(2)

 ――全社員正社員化を昨年9月に実行して、社員の反応など結果は実際にいかがですか。

 戸惑った人も、一杯いるのじゃないですか。

 ――イノベーションが盛んになる風土にするのが大きな狙いだそうですが、社員の中には、私は一定の仕事を静かにしていたいという人もいませんか。

 もちろん、その通り。そういう考えの人がいてもいいのです。

 当然じゃないでしょうか。人それぞれライフステージも置かれている状況も違うのですから。例えば育児をしている人には、相応の優遇をすればよいと思います。また育児をしながら、いろんなことを気づくこともあるでしょう。

 みんながみんな、アイデアを出したら、アイデアが多すぎて会社がこなしきれないじゃないですか。提案書が毎月1万枚も集まったら、困っちゃいますよ。そうならないから、いいですけど。(笑)

 ――みな平等に意見を出せるが、それを生かすかどうかは個人の意思ですね。

 平等だという感覚はいいと思うんです。それは機会の平等でね。生かすか生かさないかは、人によるのでわかりません。

 ただ工場もそうですけど、昔も今日も同じだと思っていた仕事が、今はどんどん変わっていきますよね。

 一生懸命やっているコールセンターなどの業務は、将来、AI(人工知能)に置き換わるのでしょう。ですから仕事は昨日から今日、そして明日へと進化させていかなければなりません。

 昨日と同じことをしていたら、違う結果は出ない。昨日と違うことをやったり考えたりするから、新しい何かが生まれてくるのです。これが面白くなって、働くことが楽しいものになるんだと思います。

 昔のように汗水たらしてやる苦しい労働というのは、どんどん無くなっていますよね。頭を使って富を生みだす社会が来るわけです。その中で、私が強調する「感性」を働かせて差別化する仕事も重要になります。

 ――生産性向上の鍵は会社から組織、さらに個人に移ると言いましたね。

 これからは個人そしてチームですよね。何か新しいことを考えるのは、チームを通じてですね。そこでの発言が平等に保障されていないといけません。ヒエラルキーや勤続年数で制限しては駄目です。

 ――社員の自由度を高めるために、ほかにも働き方をいろいろ改革していますね。

 そうですね。仕事の仕方はやりやすいように変えて行けばいいんです。

 私はいちいち関与していませんが、1時間単位で有給休暇を取れるようにもしました。ホームワークも、できる人はやればいい。

 昔は結構やっていました。例えば郵便局を回って、郵便局で提携カードの発行をしていたときは、決まった枚数に達したら、自宅に帰っていいんです。その方が、効率がいいでしょう。

 我々も西武百貨店にいたとき、スタッフはやっていました。横浜辺りからわざわざ来ても、通勤する間に仕事はできるのではないですか。遠くから交通機関を使って集まってくる無駄さ加減たらないね。

 ――林野社長は昔から、働きの善し悪しは時間の長さとは関係ないと言ってきたのでしょう。

 そう、結果だよね。よい結果を出せれば、遊んでいてもいいんですよ。仕事をしているふりとか、毎日、会社に来るだけで仕事をしていますとか、形だけというのが一番まずい。

 そんなことしていると、危機感が無くなっちゃうんですよ。会社で真面目に働いていますという本人の満足感は、会社の生産性とは全く関係ないですからね。

 ――クレディセゾンの行動指針「ヒューマニズムの風土創り」20項目を読むと、どれも当たり前のことですね。

 当たり前のことしか書いていないけれど、日本の多くの企業ではやっていませんよね。「言論の自由」なんか保証している会社なんてまずないものね。憲法の条文だけですよ、保証しているのは。

 ――勤務時間も短縮して(7.5時間)、社員をなるべく縛らないということですか。

 余計な管理はしない方がいいんですよ。自由がいい。服装も5月から全部自由にしました。期間限定のクールビズではなくて、1年通して自由な服装にしようと決めたんです。

 会社に来られるお客さんには、IT(情報技術)関係の起業家も多いんです。ほとんどの方はスニーカーにジーパンですから、応対する側がネクタイだとバランスが悪いんです。

 お客さんに「ネクタイをしていなくて申し訳ない」といちいち言っていただくのは申し訳ない。そんなの面倒くさいので、自由にしたのです。もう役員もみんな、ネクタイをしていないのではないのかな。

 ――でも社長はスーツにネクタイですが。

 私はいつもネクタイを締めていますよ。私は百貨店にいましたからね。これをつけていないと、百貨店のネクタイやスーツの売り上げが落ちるでしょ。私はしていますけど、ネクタイピンをする人も今どきいませんよね。私は人のやらないことをやり、人がやるとやめるのです。

 以前、私は真っ黒いワイシャツを着ていたんですよ。他の人は白のワイシャツで、黒いのを着ている人なんかいなかったからね。今は他の人がカラーになったので、白です。だって人と同じことをするのは詰まらないじゃない。

 ――相当なへそ曲がりですね。

 そうです。天邪鬼です。自分でも、そうだと思いますよ。たとえ賛成だと思っても、いったんは反対してみるとかね。私はそういうふうに生まれ育ったんです。人と同じことをするのは嫌だってね。(笑)

(次号に続く)

■聞き手 森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。

最終更新:6/17(日) 15:02
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