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特急はJRだけじゃない! 独自の運転網を築く「近鉄特急」の世界

6/17(日) 14:10配信

乗りものニュース

新幹線開業で変わった近鉄特急

 そして、その前後にデビューしたのが、日本初の2階建て特急電車です。初代10000系や2代目となる10100系は、その眺望の良さなどから大人気に。2階建て特急「ビスタカー」は近鉄の代名詞的存在となります。

 ところが、1964(昭和39)年に東海道新幹線が開業すると、スピードでは全くかなわなくなり、名阪特急の乗客は激減します。それまでは大阪~名古屋間の輸送シェアで70%ほどを占めていましたが、数年後にはわずか10%台となり、ついには全列車が2両編成にまで短縮されてしまいます。

 そこで近鉄は、名阪間や伊勢方面を中心としていた特急輸送から方針を転換し、京都や奈良、吉野といった都市間輸送にも注力しはじめます。こうして、近鉄の特急ネットワークは完成。ビジネスや通勤、観光など、様々な需要に応えられるようになりました。さらに、1970年代後半からは国鉄が相次ぐ運賃値上げを行ったため、名阪特急の乗客も徐々に戻り始めます。

 登場から40年を迎えてなお根強い人気を誇る30000系「ビスタカーIII世」は、1978(昭和53)年にデビュー。1988(昭和63)年には、特別席「デラックスシート」を初めて装備した21000形「アーバンライナー」も運転を開始しました。近年では「2時間あるから、ちょうどいい」という合い言葉の通り、スピードよりも快適性や料金を重視する人たちから、多くの支持を得ています。

忘れてならない観光特急

 さて、近鉄特急といえば、豊富な車両ラインナップも魅力。その代表格といえるのが、観光特急「しまかぜ」です。大阪・名古屋・京都と伊勢志摩エリアを結ぶ列車で、車内は全席が“プレミアム”。本革製のシートは電動リクライニングやレッグレストに加え、空気圧を使ったマッサージ機能まで備えています。また、ソファタイプの洋風個室や、靴を脱いでくつろげる和風個室、セミコンパートメントのサロン席など、人数やシチュエーションに合わせて様々なくつろぎ方ができます。

 2階建ての「カフェ車両」では、沿線の食材を使った軽食やスイーツが味わえるなど、乗ること自体が旅の楽しみになるような列車となっています。デビュー(2013年)から5年が経過したにもかかわらず、その人気は衰え知らず。いまでも高い乗車率を誇っているのも納得です。

 そしてもうひとつ、2016年9月に登場した観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」も忘れてはなりません。大阪阿部野橋~吉野間で運行されているこの列車は、「上質な大人旅」がコンセプト。濃紺のメタリック塗装に金色の帯やエンブレムをまとった外観、応接室のソファのようなどっしりとした座席、照度を落としたダウンライトの照明など、“重厚”という言葉がぴったりです。

 床には丹後緞通(だんつう)の分厚いカーペット、ひじ掛けなどには吉野産の竹が使われています。また中間のラウンジカーは、鉄道車両としては珍しい横長の窓を採用。ホテルのラウンジのような落ち着いた雰囲気としつつ、車窓に広がる吉野の緑も楽しめるようになっています。まるで鉄道車両であることを忘れてしまうような、独特の空間が多くの乗客を魅了し続けています。

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