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公衆電話の設置台数はピークの5分の1以下も、災害で高まる存在感

6/18(月) 9:48配信

ニュースイッチ

東日本エリアは逆に増える

 携帯電話の普及で公衆電話の利用機会が減少している。NTT東日本が2017年12月に行った調査では、公衆電話を使った経験がない小学生が約85%に達した。だが、公衆電話は通信規制の対象外として優先される「災害時優先電話」。訪日外国人も増えていることから、NTT東日本は子どもや外国人でも使えるようにする取り組みを始めた。

 大規模災害発生時には安否の問い合わせが被災地へ殺到し電話が急増する。その際に、交換機の処理能力を超えてシステムダウンとなったり、ネットワーク全体に影響を及ぼしたりする恐れがある場合には、警察・消防などの緊急連絡や重要通信を確保するために一般電話の通話を制御することがある。11年3月の東日本大震災発生後に電話がつながりにくかったことは記憶に新しい。

 こうした災害時の通信制御を受けない電話が災害時優先電話だ。公衆電話も災害時優先電話である。

 停電時でも硬貨があれば平時と同様に利用できるため、東日本大震災が発生した11年3月11日の東日本全域の公衆電話の通信回数は前日比約10倍を記録した。

 だが、スマートフォン(スマホ)の普及で公衆電話を使ったことがなく、テレホンカードを知らない子どもが増えてきた。スマホの電話帳に登録した名前の検索で電話をかけられるため、親の携帯電話番号を覚えていない子どもも多い。

 このため、NTT東は2000校以上の小学校に公衆電話の使い方を漫画などで説明したポスターやチラシを配布した。公衆電話にも絵と文字でかけ方や災害伝言ダイヤル「171」の使い方を説明したシールを貼付した。17年度に2977万人に達した訪日外国人にも使えるようにしようと、英語でも使い方を説明している。

 公衆電話は1900年に東京・上野駅と新橋駅に設置されてから118年がたった。51年からは商店などの店先に黒電話が登場。53年に導入した赤電話を契機に公衆電話数は急激に増え、ピーク時の93年には設置台数が93万4903台に達した。だが、16年度には16万1375台に減少している。

 このため、NTT東は自治体の協力を得ながら、災害時に無料で使える災害時用公衆電話(特設公衆電話)の数を増やしている。

 災害時の避難所になる小中学校や市役所などに設置しており、通常時は施設管理者が保管。災害発生時に施設管理者が設置し、緊急連絡手段として提供する仕組みだ。停電時でも利用できる。

 東日本大震災では首都圏の電車が止まり、携帯電話がつながりにくくなった。家族に連絡しようと公衆電話に人が殺到した。この経験から自治体関連施設への設置が進み、東日本エリアで11年度に7310台だった設置数が、17年度には4万5671台と6・2倍に増えた。NTT東のホームページで設置場所を知ることもできる。

 国内では、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が懸念されており災害に備えた連絡手段の準備は不可欠だ。外出時の連絡手段の主役を携帯電話に譲った公衆電話だが、まだまだその存在価値はある。

日刊工業新聞第一産業部・水嶋真人

最終更新:6/18(月) 9:48
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