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燃えるたこで農地狙う パレスチナ抗議デモ

6/20(水) 13:39配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【6月20日 AFP】イスラエルの農民アブネル・ヨナ(Avner Yona)さん(54)は、木の骨組みに合成樹脂のシートが張ってあるたこを掲げてみせた。身長と同じくらいの大きさがある。パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)から飛ばされて来たそのたこは、厳重な警備が敷かれている境界線を越え、ちょうど1キロ離れたナハルオズ(Nahal Oz)のキブツ(イスラエルの農業共同体)にあるヨナさんの農地に落ちてきた。

「彼らはガソリンを染み込ませた布をここからつるして、火を付ける」とヨナさんは言い、薄汚れた「たこのしっぽ」の部分を指さした。

 1か月以上前からこのようなたこが境界線の向こうから多数、飛ばされて来て、数平方キロにわたる農地や保護区の森林が燃えた。

 これまでパレスチナ人が使用してきた投石や火炎瓶のように、たこは3月30日に発生したパレスチナ難民の帰還を求める抗議デモのシンボルとなっている。

 この日以来、イスラエル軍の攻撃で命を落としたパレスチナ人は少なくとも125人に上る。その多くは境界線付近のフェンスに近付いた人々で、イスラエル軍はそこで、パレスチナ人の侵入を防ぐために殺傷力の高い武器の使用を認められている。

 たこはガザの人々にとって、より安全にイスラエルに経済的損失を与えるための道具だ。境界線から遠く離れているため、撃たれる心配もない。イスラエルはこうした作戦を裏で指図しているのはイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)だとみているが、パレスチナ側にとって、たこは、抗議活動の大部分は平和的に行っているというイメージを維持するのにも一役買い、抗議運動の主催者らはパレスチナでの砲撃を防ぐこともできた。

 ガザ中部のブレイジ(Al-Bureij)難民キャンプでは、十数人の若者がイスラエルに面した砂州に腰かけ、たこや風船に簡易発火装置を取り付けていた。「たこにひもを付ければ、場合によって20~30キロは飛んで行く。森を越えたら、そのひもをすぐに切ればいい」と、アブ・ムーサさん(25)は語った。

「たこを飛ばすのは彼らの農地に火を付けるためだ」と、アブ・マジド(Abu Majd)さん(28)は続けた。

■イスラエルの対空防衛システムもお手上げ

 イスラエルの農業従事者は、この低予算の攻撃によって甚大な損害を被っている。

 だがヨナさんは、キブツの住民は2008年以来、ガザの境界線で3回の紛争を経験しており、このような攻撃には屈しないと主張した。「ここは私たちの土地だ。土地が最後の1メートルになるまで働く。屈するわけにはいかない」

 パレスチナ人も、この地は自分たちのものだと信じている。抗議活動に参加する人々は、1948年にイスラエル建国によって自分たちの家族が避難して残してきた家や追放された家に戻る権利があると主張している。

 映像は5日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:6/20(水) 16:53
AFPBB News

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