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【二宮寿朗の週刊文蹴】悔しさを力に変えた西野マジック

6/22(金) 10:04配信

スポーツ報知

 日本代表は罠(わな)に落ちなかった。

 格上コロンビア相手に前半6分にPKで先制点を奪い、加えて潰し役のカルロスサンチェスを退場させた。このうえないスタートだが、裏を返せば“危険なプレゼント”でもあった。

 せっかくの積極性が、1点を手に入れたことで消えてしまうのはよくあるパターン。冷静と消極性は別物ではあるものの、後者にのみこまれる危険をはらむ。実際、様子見が続く緩やかなスローダウンは、何やら嫌な空気を呼び寄せているようでもあった。

 だが、これは誰かが振り払ってあげればいいだけのこと。周囲を鼓舞するような気持ちあるプレーを示すことで、受け身のほうに引っ張られなくて済む。その意味においてよく走り、よく戦い、消極性の欠片(かけら)すら寄せ付けなかった長友佑都は、ベテランらしくチームの手綱を締めてくれた。

 前半18分にはスピードあるJu・クアドラドの侵入を食い止めてガッツポーズ。その後セットプレーから同点に追いつかれたものの、周りの熱を引き上げていた。

 これも前回ブラジルW杯の経験があったからこそだ。初戦のコートジボワール戦は先制しながらも攻撃の生命線である左サイドを封じ込まれた。逆に後半に入って左サイドからクロスを放り込まれ、逆転負けを喫した。ひるんだら、やられる。同じ失敗を、再びチームに味わわせてはいけない。その気概が、ガッツポーズに込められていた。

 後半の日本はネジを巻き戻して、2点目を奪いに向かった。翻ってコロンビアは、勝ち点3を諦めたかのように足の運びが鈍くなった。積極性の継続が、彼らの動きを止めたのだった。

 ブラジルの悔しさをロシアで晴らす。その一念が伝わってきた。経験者重視の選考は当たった。苦い経験を力に変えたのも、西野マジックである。(スポーツライター)

最終更新:7/14(土) 7:11
スポーツ報知

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