ここから本文です

国産バナナ台頭 「寒さに強い苗」後押し

6/23(土) 7:07配信

日本農業新聞

 国内で消費される99%が輸入品のバナナを、国産化しようという動きが出てきた。日本の種苗会社が沖縄県など亜熱帯地域以外でも露地で栽培できるよう耐寒性のある苗の育苗技術を開発したことで、各地で生産が広がりつつある。国産バナナが身近になる日も近い?

“安心”掲げ2ヘクタール 鹿児島の「神バナナ」

 育苗技術は、種苗の研究開発や培養を手掛ける「ともいきBIO」(福岡県北九州市)が、「凍結解凍覚醒法」で開発した。氷点下60度まで温度を下げてバナナの生長点を冷凍し、解凍して培養することで耐寒性を持たせ、病害虫にも強い。品種は海外品種の「グロスミッシェル」で、国内での品種登録はない。

 鹿児島県南九州市の農業法人「神バナナ」は約2ヘクタールにハウスを30棟建て、同社の苗を無農薬で育てる。生産履歴を明確にすることで消費者に安全性をアピールし、1本約1000円の高級品として販売している。

 ハウスに高さ5メートルほどの4000本が樹間1メートルで並ぶ。1株1作で1茎に120~200本の実が付く。

 温暖な気候と豊富な湧き水を強みに本州でも育てられる品種を探し、昨年6月に定植。今年3月に初出荷を迎えた。スーパーなどに並ぶ「キャベンディッシュ」より皮が薄く、葉面散布剤や収穫後の防腐剤も使わないため、皮ごと食べられることが売りだ。同社は「手作業で管理するため、安全面でも輸入物と差別化できる」とアピールする。

 収穫後、自社施設で1週間ほど追熟する。出荷量は週2000本ほど。地元マスコミに紹介され話題となり、インターネットで1本877円(5本から注文可能)で販売するが、1カ月予約待ちの状態という。100株以上であれば、苗も1株3万円で販売する。

 空き地と耕作放棄地も活用し、異業種から農業へ転身した20、30代の若手職員15人が作業する。岡山県で熱帯作物を栽培する農業法人「D&Tファーム」で管理を学んだ。飲食業から転身した油木佑介さん(30)は「実家は農家だが、農業後継者として農業をやるなら夢のある作物を作りたい」と決意した。

 同社は「地元の特産と若い世代が中心となって働く場所をつくりたい」と意気込む。

1/2ページ

最終更新:6/23(土) 7:07
日本農業新聞

あなたにおすすめの記事