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4児のパパボクサー石橋俊、引退表明と同時に復帰宣言!?4月、辰吉寿以輝に判定負け

6/27(水) 15:03配信

スポーツ報知

 6月中旬、1人のプロボクサーが自身のブログで、グラブを置くことを表明した。「引退します。守るべき家族の為にしっかり働きます」。大阪・仲里ジム所属の石橋俊、30歳。ラストファイトは4月30日、元世界王者・辰吉丈一郎の次男・寿以輝(21)=大阪帝拳=とのスーパーバンタム級(55・3キロ以下)8回戦で判定負け。デビュー13年で通算成績10勝(4KO)23敗1分け。私生活では7歳から0歳までの4児の父だ。戦績は大きく負け越しているが、寿以輝戦では存在感を示した。

 6連敗中だった石橋と、年齢も若くデビュー無敗の寿以輝との対戦が決まった時、寿以輝のKO勝ちとみていた。だが、フタを開けてみると、石橋は粘り強く勇敢だった。序盤の劣勢は間一髪のディフェンスでしのぎ、決定的な被弾を回避。終盤、反撃に転じた。「パパ、頑張れ~っ」。父親がボクサーだと分かっている長男(7)と次男(5)の絶え間ない声援に後押しされて、多彩な左のパンチと右ストレートで寿以輝を苦しめた。前半に失ったポイントが響いて判定で敗れたが、観衆から惜しみない拍手を送られてリングを下りた。

 試合後の控え室。デビュー8連勝の寿以輝は「ボクシングほど過去の戦績があてにならないものはない」と意地を見せた石橋に脱帽し、帰り際に「勉強になりました。ありがとうございました」と9歳年上の先輩ボクサーに礼を言った。「頑張ってな」と石橋はエールを返した。その傍らには妻・京子さん(32)と4人の子供たちがいた。試合中に声を枯らした息子たちは、戦い抜いた「パパ」を頼もしそうに見つめていた。

 石橋は佐賀・武雄市で野球少年だった中学時代、畑山隆則が坂本博之に壮絶KO勝ちした世界戦を見て刺激を受け、プロボクサーを志した。高校には進学せず、寮のあるジムを求めて単身大阪へ。05年4月、鍵本エディジムからプロデビューし、グリーンツダジム、仲里ジムと所属先を2度移籍。その理由については「いろいろあって」と苦笑いするが、ボクシングという軸は見失わなかった。プロ34戦を振り返り「一戦一戦、『もっとこうしておけば良かった』の繰り返しで、ここまで来た。勝った姿をもっと家族に見せたかったなあ」と本音も明かした。

 石橋はリングを離れた現在、ゴミ収集車の乗務員の仕事に専念し、家計を支えている。しかし、ブログには、しっかりとこう記してあった。「しっかり家族の為に働き、生活が安定してきたら、またその時に石橋俊は復活します。そう、実際は引退ではなく無期限の休止です(中略)ボクシングの定年は37歳、まだまだやれる」。引退を表明しつつも現役復帰に含みを残す。ボクシング界では、よくある話。リングへの愛着は、世界王者もノーランカーも同じだ。

 「まだ、やり切っていない。体は元気だし、ロードワークは続けている。階級を上げて復活するかもしれない」と石橋。元水泳選手の愛妻からも「自分がやり切っていないのなら、家族を理由に辞めるな」と言われたという。「実は引退届も未提出で、所属ジムも退会ではなく休会にしている」と明かす。4児のパパボクサーの物語には、まだ続編がありそうだ。(敬称略、記者コラム・田村 龍一)

最終更新:7/20(金) 14:00
スポーツ報知

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