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【オシムの教え】西野監督の判断を支持「間違いではない」…先発6人変更には疑問

6/30(土) 10:04配信

スポーツ報知

◆W杯ロシア大会▽1次リーグH組 ポーランド1-0日本(28日・ボルゴグラード)

 日本代表は1次リーグ第3戦でポーランドに0―1で敗れた。同時刻に行われたコロンビア戦に敗れたセネガルと勝ち点4、得失点差0、総得点4で並び、今大会から導入されたフェアプレーポイント(FP)の差で上回り、H組2位で10年南アフリカ大会以来2大会ぶり3度目の決勝トーナメント(T)進出を決めた。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(77)がスポーツ報知にロシアW杯特別評論を寄稿し、内容には不満も西野朗監督(63)の判断を支持した。

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 ポーランド戦は危険で難しい試合だった。同時に大きな不満が残る試合でもあった。

 結果は最初にミスを犯した日本が敗北した。日本の側から見たときに、結果が妥当ではなかったのは残念だ。日本からすれば、ポーランドが勝ったのは納得できないだろう。

 日本が負けるような試合ではなかったが、サッカーは常に相手のことも考慮すべきだし、相手の側から考える必要もある。自分たちの事情だけで計りきれるものではない。

 つまりポーランドはあんなものではない、ということだ。今大会のポーランドはこれまでのポーランドではなかった。本来なら、もっとずっと攻撃的で、彼らに勝つのは難しいし、優位に試合を進めるのも簡単ではない。

 しかしロシアでのポーランドは、セネガルに敗れアグレッシブさを失い、コロンビアに連敗した。そして日本戦は…。最後はどちらもプレーすることをやめてしまい、とても満足のいく内容とは言えなかった。

 どうして日本は大幅にメンバーを入れ替えたのか。長谷部らを起用しなかったのは疲労を考慮したからか、それとも他に理由があったのか。他にも欠場は香川、原口、乾、昌子…。相手にとって嫌な選手たちだった。

 ただ、サッカーにはこうした状況もまたあり得る。メンバーを入れ替えて試合に臨む。このような試合のために必要な選手たちがいる。あまり経験が豊富とは言えないが、決定的な仕事をする選手たちだ。

 なぜなら多くの選手は厳しく長いリーグ戦に疲労しており、普段はベンチに控える選手たちの活躍の場が必ずやってくるからだ。欧州のチャンピオンズリーグやトップ5のリーグ戦の戦いはそれほど難しく、試合によってはW杯よりもレベルが高い。

 日本とポーランドの双方にとって、この試合はそんな(控え選手たちの)試合でもあった。日本は次の戦いに向けての準備の、ポーランドは自国のサッカーの名誉と未来のための。ただし選手たちのパフォーマンスは、期待されたレベルにはとても届かなかったが。

 試合終了間際の消極的なプレーについては、とても難しい判断だった。リスクのかけ方によっては、すべてを無駄にする危険がある。選手に少し下がるように指示するのは、決して間違った判断ではない。

 日本の目標はグループリーグ突破だ。そこには何の贈り物もなく、自分たちで決めるしかない。西野監督は自分がよく知る選手たちが目的を達成するために、何が一番適切であるかを判断した。

 私は彼の判断を支持する。そのことについてはあまり騒ぐべきではないし、日本代表にあまり多くを求めてもいけないと思っている。なぜならば、求めすぎるとすべてを失う危険があるからだ。失って後悔しても遅い。

 私は日本がこれまでサッカーのために、どれだけのものを注ぎ込んできたかを分かっているつもりだ。やるべきことをやり遂げながら日本はここまで進んできた。だからこそ、これからもノーマルなサッカーを続けてほしい。

 それでも日本は満足すべきだろう。何はともあれグループリーグ突破という目標を達成したのだから。ひとつひとつ段階を踏まえながら、世界の強豪たちと肩を並べるレベルに到達した。アグレッシブで、それなりにスピード感のある自分たちのスタイルを世界に誇示しながら。

 次はベルギー戦。勝った方が次に進める直接対決方式は、喉元にナイフを突きつけられているようなものだ。だからこそ、いつものようにプレーする。

 さらなるチームの進化を私は待ちたい。(元日本代表監督)

 ◆イビチャ・オシム 1941年5月6日、ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア)のサラエボ生まれ。77歳。90年イタリアW杯で旧ユーゴスラビア代表を8強に導く。2003年に市原(現千葉)の監督に就任し、05年ナビスコ杯(現ルヴァン杯)優勝。06年7月、日本代表監督就任。07年11月に脳梗塞で倒れ、同12月に退任。

最終更新:6/30(土) 12:58
スポーツ報知