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復刻連載「北朝鮮難民」 苦難の行軍を再照射する(3) なぜ難民が生まれたのか

6/30(土) 21:06配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

◆「飢民」の発生

北朝鮮から中国に飢民が出てきているらしい―。

こんな情報が私のもとにぽつぽつと入り始めたのは、1995年の終わりごろからだったと記憶している。96年に入ると、北朝鮮をビジネスで往来する在日朝鮮人の知人から、

「平壌から地方都市に出ると、目を開けて見ていられない光景に出くわす。飢えた人々が食糧を求めて彷徨い、鉄道駅などでは死体が転がっていることもある」

という話を聞かされるようになった。

「まさかそこまで」
という信じがたい思いと、

「いや、ありえないことではない」
という嫌な予感が交錯した。

北朝鮮経済が相当悪いらしいという話は、80年代中盤あたりから聞こえていた。日本企業への輸入代金支払いはすでに70年代かから滞っていたし、在日朝鮮人の金元祚(キム・ウォンジョ)氏が書いた訪朝記『凍土の共和国』(亜紀書房)には、80年代初頭に北朝鮮住民がすでに深刻な食糧不足、物資不足に悩まされている現実が、赤裸々に描かれていた。

しかし当時、南北朝鮮の対立は非常に厳しく、韓国の全斗煥政権が独裁的な政治を行っていたこともあり、私は北朝鮮に批判的な言説をそのまま受け入れることに抵抗があった。

その後、東西冷戦が終焉を迎え、ソ連が崩壊した1991年を過ぎてからは、北朝鮮の経済は、「深刻なのではなく破綻した」状況だと盛んに報じられた。東欧社会主義圏の市場が消え、援助も止まってしまったことが、とどめの一撃になったというのだ。

私自身も、93年より始めた朝中国境地帯への取材で、数人だが北朝鮮から脱出してきていた人物にインタビューしており、食糧・物資不足が危機的状況に近づいているとは認識していた。

だが、食糧・物資の不足が、飢餓の段階にまで達し、死者まで発生して中国に住民流出が始まったとなると、それはもはや単なる経済の問題ではなく、人間の生の根源的な問題であり、北朝鮮政権の崩壊、さらに朝鮮半島危機の可能性も出てくる。「中国に飢民が流出」「死体が転がっている」という情報に、私は衝撃を受け混乱した。「単なる噂話であってくれ」と祈るような気持ちになっていた。

その後、複数の韓国メディアによる中国取材報告によって、北朝鮮脱出者がかなりの数で発生していることは疑いようがなくなった。 本文:3,086文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

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