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賃貸でDIY可!しかも退去時そのままでOK…若者減った街の再生期す大阪・大正区の秘策

7/1(日) 10:32配信

関西テレビ

(薄田ジュリアキャスター)
「お邪魔しまーす。おぉーっ!すごいスタイリッシュですねー」

まるで、外国映画に登場しそうなオシャレな部屋なんですが、実は築45年!

様々な仕掛けで若い入居者が増えているという、大阪市大正区にあるUR千島団地です。

そのウラには、若者が減ってしまった街を再生するため、奔走する役所の職員の姿が…。地域に新たな住人を呼び込む秘策とは…?

<賃貸なのに“DIY”できる団地>

千島団地、何と賃貸でありながら、およそ2200戸全ての部屋を、自分たちで改修できる『DIY団地』なんです。

Q.なぜ千島団地を選んだんですか?

住人の男性:
「戸建ならリノベーション(改修)を好きにしていいですよっていうところはあったんですけど、単価も高いですし。その中で千島団地はある程度家賃も安く、シェアハウスも認めてもらえて、DIYできるという、全部揃っていたのがすごいです」

別の男性:
「最初は本当に大変でしたけど、自分たちで部屋を作れるというのはすごく楽しいと思います」

半年ほどかけて改修したという部屋。かつては“昭和の雰囲気”が漂っていましたが、天井をあえてコンクリートむき出しの状態にし、リビングの壁一面に手作りの棚を設置。畳はフローリングに、そして押し入れもふすまを外して二つの部屋にしました。

この団地では、申請さえすれば間取りを変更するような大幅な改修もできるうえ、退去する時も、元に戻す必要がありません。

Q.リフォーム業者がするレベルの改修ですよね?

住人の男性:
「そうですね(笑) 全体でかかった費用は60万円ぐらいですね。やりたい放題やって、この金額ならいいんじゃないかと思います」

家賃は、1ヵ月3万8900円(1DK)から。大規模な改修をする場合には、何と家賃が3ヵ月分無料になります。

これまでは退去者の数が、入居者の数を上回っていましたが、「DIY効果」で逆転!昨年度は入居者の方が多くなりました。

長年団地に入居する女性:
「(DIY事業は)ええこと。今でも空き家が多いというから、いっぱい入ってもらった方が。若い人に来て欲しいな」

賃貸住宅でDIYを可能にしたワケについてURの担当者は…。

UR都市機構の担当者:
「まずは団地というのが若い方にとっては住宅選びの選択肢に上がってないというのがありますので、もっと多様な住まい方を我々としては提供していくべきかと」

<若者を呼び込め!大阪・大正区の秘策>

千島団地の入居者が増えているのには、他にもワケが…。この日は大阪市大正区の工場で働くベトナム人男性が部屋を見にやってきました。

案内役の男性:
「こういう風に改装することも全部できるんですよ」

ベトナム人男性:
「この部屋は喫茶店みたいですね(笑)」

案内役の男性、実は大阪・大正区役所の総務課長。

2年前、大正区はURなどとタッグを組み、若い住民を呼び込む拠点として、千島団地の活用を始めました。

大正区と、となりの港区にある約70の会社の従業員は、この団地の家賃や敷金が割引に。人材確保に悩む町工場の経営陣も、雇用につながり喜んでいるといいます。

大阪・大正区総務課長:
「企業の方が元気になられて、規模を拡大されて従業員の数が増えてですね、大正区にお住まいいただければ幸いですよね」

かつては、紡績工場が立ち並び「東洋のマンチェスター」と称されるほど工業の街として栄えた大正区。

しかし、企業の本社移転などを背景に工場は減少。およそ50年間で、人口は3万人以上も減り、2017年は大阪市24区の中で最下位の約6万4000人に。

大正区の昨年度予算も約18億7000万円と、市内で最も人口の多い平野区の半分ほどしかありません。

大阪・大正区総務課長:
「人口に沿った形での予算配布になっているので、そういう意味で言いますと大正区は一番少ない予算額になってしまいます。区民の方が望まれるような催しなどが、かなりできにくくなります」

若い住民を呼び込もうと、様々な取り組みを行う大正区。総務課長がこの日向かったのは、大阪市立大学です。

大阪・大正区総務課長:
「インターンシップ(就労体験)の期間中、大正区で暮らしていただいて、大正区の街についてご意見をいただきたいなと」

大正区では去年から、20代の若者に区内の宿泊施設を無料で提供し、町工場で働く体験をしてもらう事業も実施。課長は、大学で学生の参加を呼び掛けていたのでした。

Q.企業の営業マンみたいですね?

大阪・大正区総務課長:
「よく言われます(笑) 電話とかメールではなかなか話せない内容ってありますので。そういった内容や、こちらの思いもぶつけています」

ほかにも、2016年から始めたのが、修学旅行生向けに大正区の工場見学のコーディネートをして全国の学校に売り込むという“国内初”の取り組み。

去年12月時点で、これまでに34校・約2500人の修学旅行生が大正区を訪れました。若い世代にアピールすることで、将来移り住んでもらうきっかけになればという狙いです。

<転入が転出上回る…多くが20代30代>

一方、大正区・千島団地の部屋を改修中だった、冒頭の男性二人。玄関に靴箱を作るというのでのぞいてみると、二人は材料を持って団地の1階へ…。

Q.いつもこのスペースで作業を?

男性:
「木を切ったりとかそういう作業は1階のここで。音出しても、ほこりが舞っても全然問題なくやらせてもらってます」

団地の1階には、世界の壁紙やペンキを取り扱う店舗が入居。大正区と団地の協力店です。

団地の住民などが部屋を汚さずに作業できるよう、電気のこぎりなどの工具も備えたスペースを有料で貸し出しているんです。

また初心者でも取り組めるよう、週2回ほど、壁紙の張り替え方やペンキの塗り方などのDIY講座も開いています(※有料・団地の住民以外も参加可)。

大正区では長らく、転出した人数のほうが転入した人数よりも多かったのですが、地道な取り組みの成果か、2016年に逆転!しかも、転入の多くが20代や30代の若者でした。

大阪・大正区総務課長:
「若い力があると、街も活気が出ますし、働く場所は大正区にたくさんあります。いい場所もたくさんありますので、我々がどうPRできるかですね」


(関西テレビ『報道ランナー』内「なるほど!ちまたのケーザイ学」2018.4/10OAより)

最終更新:7/1(日) 10:32
関西テレビ