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“サヨナラ負け”ベルギー戦 日本に欠けていた「逃げ切り」の方策

7/3(火) 12:10配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 西野監督が頭を抱えて髪をかきむしれば、2点目を叩き出したMF乾はユニホームで顔を覆って泣きじゃくった。

 3日午前3時にキックオフした決勝トーナメント1回戦。FIFAランク3位の欧州最強ベルギーを相手に後半23分まで2点リードしながら、アディショナルタイム4分に決勝点を奪われた。

 天を仰ぐMF香川、視線を宙にさまよわせてボー然と立ち尽くすMF本田。試合終了を告げるホイッスルが鳴ったピッチには、九回2死からサヨナラ本塁打を浴びた野球の敗戦チームと同じような光景が広がった。

 前半のベルギーの猛攻をしのいだ日本が先制したのは後半3分。MF乾からのパスを受けたMF柴崎がセンターサークル内からスルーパス、右サイドを駆け上がったMF原口がペナルティーエリア(PA)内でこれを収めて右足を振り抜き、ゴール左に突き刺した。その4分後の後半7分には、MF乾がPA手前から無回転シュート。これがゴール右隅に決まり、日本が2点を先制するまさかの展開になった。

 この時点で守りを固める手もあったが、「2点先制後もオフェンシブに戦えていた。ゲームをコントロールできた時間帯もあったし、そのまま走った」と西野監督は追加点を狙いにいった。

■ポーランド戦パス回しの“後遺症”

 ポーランドとの1次リーグ最終戦で露骨な時間稼ぎを指示し、10分以上も姑息なパス回しを展開して世界中から酷評されたことが頭をよぎったのかもしれない。しかし、この攻めの姿勢が裏目に出た。

「本気のベルギーがそこにいた」

 指揮官がそう振り返ったように、後半24分からわずか5分間で2失点。DFフェルトンゲン(31=トットナム)、MFフェライニ(30=マンチェスターU)に相次いでヘディングシュートを決められた。

 そして、後半49分。残り1分で延長戦に突入という土壇場で、日本は失意のどん底に突き落とされた。後半36分から途中出場した本田のCKをキャッチしたGKクルトワ(26=チェルシー)が素早い下からのスローイングでMFデブルイネ(26=マンチェスターC)につなぎ、そのデブルイネが中央からドリブルで一気に日本陣地に攻め入ると、パスを受けた右サイドのムニエ(26=パリサンジェルマン)がグラウンダーのクロス。ゴール前でFWルカク(25=マンチェスターU)がこれをスルーし、MFシャドリ(28=ウェストブロミッジ)がフリーでゴールへ流し込んだ。

 残り1分でまさかの逆転負け。試合直後の西野監督は、「んー……、まあ……、これがW杯の怖いところでしょうか。世界との差? んー……それがすべてだとは思いますけど、まあ……(差は)わずかだとは思う」と何度も言葉に詰まった。

 時間帯によってはベルギーは、本当に世界ランキング3位の優勝候補なの? という局面もあった。しかし、終わってみれば、3―2でベルギーの順当勝ちである。

「マイボールになってからの崩しなど日本の良い部分も出ていたが、2点をリードした時点で<リードをキープして逃げ切る>方策に欠け、2―2の同点に追い付かれてからは<延長に入って一度リセットする>ための選択肢もなく、同点に追い付いて意気上がるベルギーの攻勢を止められませんでした」(現地で取材中の元サッカーダイジェスト編集長・六川亨氏)

 日本代表は今後、9~11月に計6試合のキリンチャレンジ杯をこなす。新生・日本代表からはベテラン勢がごっそりと抜け、大幅な世代交代の嵐が吹き荒れることになる。

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