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“裏口入学”疑惑に揺れる東京医科大の評判と医学部人気の実態

7/5(木) 15:41配信

ITmedia ビジネスオンライン

 文部科学省の現役官僚が自分の子どもを東京医科大(東京都新宿区)の医学科に“裏口入学”させたのではないかとの疑惑が持ち上がっている。

国際医療福祉大学の医学部は学費の安さで有名

 東京医科大は私立大学なので学生の親は高額な学費を払うことになる。同大の公式Webサイトによると、入学時に納める授業料や入学金は合計で740万円にも上り、6年間でかかる学費は3000万円弱という。

 今回の事件を巡る報道が過熱している背景にあるのは、現役官僚が逮捕されたことだけでなく、近年過熱化している医学部人気もあるだろう。医学部受験の現状と、受験生から見た東京医科大の評判について医学部受験の専門予備校「メディカルラボ」の担当者に聞いた。

●医学部ブームの背景

 近年、「医学部人気が高まっている」といわれるが、実態はどうなのだろうか。

 メディカルラボによるとここ十数年で医学部の総受験者数は増えており、その背景にあるのは、リーマンショック後の経済不安だという。大企業が他社に買収されたり、就職難が広がったりしたことを踏まえ、「一生続けられる」「手に職がつく」という理由で医学部の人気が高まっている。さらに、他の仕事に比べて男女差別が少なさそうだとのイメージが強いこともあり、女子の進学率が近年増えており、大学によっては入学者の半数以上を占めることもある。

 かつて、私立大の医学部に入学するのは開業医の子弟が多かった。しかし、昨今の医学部ブームを受けて「一般家庭でも金銭的に余裕のある層が受験するようになった」(担当者)。

 学費が安くなってきたことも人気の一因だ。例えば、2017年に開設された国際医療福祉大学医学部の場合、一般入学者が6年間に支払う学費は1850万円、医学部特待奨学生に至っては450万円となっている。一般入学者の場合、1年間あたりの出費は300万円弱になるので、やや裕福な層なら払えなくもない。さらに、近年、各大学で奨学金などが充実してきたこともあり「私立医学部を受験するハードルは下がっている」(担当者)。

●偏差値は高くて学費が比較的安い

 私立医学部は全国で31校あり、偏差値上位の“御三家”は「慶應義塾大学医学部」「東京慈恵会医科大学」「日本医科大学」だ。偏差値で見ると東京医科大は「御三家の次に入試が難しい大学群のうちの1校」(担当者)だ。河合塾が発表している「2019年度入試難易予想ランキング」によると、東京医科大医学科の偏差値は67.5となっており、理工系で私立最難関の早稲田大学理工系学部の偏差値を上回っている。

 東京医科大は受験生からも人気で、旺文社が運営する「大学受験パスナビ」によると17年度の一般入試においては、定員75人に対して志願者数は3000人を超える。人気の背景についてメディカルラボの担当者は学費の安さを挙げる。6年間の学費が3000万円以下というのは受験生や保護者にとって「学費が安い」という一つの目安とされており、私立医学部のなかでは10番目に安い水準だという。また、同大には100年以上の歴史があり、“名門校”というのも人気の一因のようだ。

 真相の解明はこれからだが、もし“裏口入学”が本当にあったとするならば、逮捕された文科省の官僚は、わが子を単に医者にしたかっただけでなく、何としても名門校に入れたかったのだと推測される。

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