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【平成家族】不妊治療、「卒業」選んでも……「子育てしてこそ」がつらい 「夫婦2人で生きる」尊重して

7/6(金) 14:01配信

朝日新聞デジタル

若い世代に伝えたい思い

 不妊カウンセラーの池田麻里奈さん(43)は、30歳から始めた不妊治療を昨年終えました。2度の流産後、死産を経験。さらに、治療を終えた後の昨年末、子宮の病気が悪化したため、子宮を摘出しました。

 2016年から、「命を考える」をテーマに、立正大学心理学部(東京都)の授業で年1回のゲスト講師を務め、自身の経験を大学生に伝えています。話題は死産の経験や、友人として当事者に寄りそうことなど多岐にわたります。

 今年の講義では、治療中に周りから挨拶のように「あなたも早く産みなよ」と言われ続けたことを話しました。「子育てしてこそ一人前」と言われ、「私は未熟なのかも」と悩んだこともありました。「今だったら、『不謹慎です。子どもがほしくても、できない人がいますよ』って言えるけど、治療のさなかにいるときは言えなかった」

 後日、この授業を聞いた学生が、「カウンセリングとは違って、学生に経験を伝えるのは勇気がいると思う。どんな目的で話しているんですか」と質問しました。

 池田さんはこう答えました。

 「将来お父さんやお母さんになりたくても、かなわないことがあるかもしれない。そんな時、子どもを持つことの価値観を周りから押しつけられたら苦しいと思うけど、夫婦の人生を自分たちで描き直してほしい。子どもの有無で、自分の価値が変わるわけじゃないんです」

 「私は周りから『子どもはまだなの』と言われ続けてきた。もし『そのままでいいよ』と言ってくれていれば、子どもができないことをつらく感じても、社会で生きることはつらくなかったかもしれません」

連載「平成家族」

 この記事は朝日新聞社とYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。家族のあり方が多様に広がる中、新しい価値観とこれまでの価値観の狭間にある現実を描く「平成家族」。今回は「妊娠・出産」をテーマに、6月29日から7月8日まで計10本公開します。

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