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米中貿易摩擦で損するのはどちらか-- 「簡単に勝てる」と言うほど甘くない

7/7(土) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

今までのところ、2018年の金融市場で最も大きなテーマは、トランプ政権の保護主義政策ないし貿易戦争への懸念であろう。

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慣れてきているのか市場の反応は徐々に鈍くなっているが、トランプ米大統領の口を突いて出るフレーズは、着実に過激さを増している。

5月下旬、ムニューシン米財務長官が貿易戦争の停戦を示唆する場面もあったが、すぐにうやむやにされ、米政府は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置との名目で、500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課す方針を発表している。

まずは7月6日(米東部時間未明)に340億ドル分(818品目)の追加関税を課し、残り(160億ドル、284品目)は中国の出方次第で決めるという。当然、中国政府はアメリカ製品に同額の報復関税を課すことを表明しているが、トランプ大統領はこれに対しすぐさま、新たに2000億ドル規模の中国製品に10%の追加関税を課す方針を検討するよう、米通商代表部(USTR)に指示している。

これらの動きを受け、中国政府も米企業の対中投資に関する許認可制限や中国人旅行客らのアメリカへの渡航制限など、貿易に限らない広範な分野への報復を示唆している。

文字通り、報復合戦である。

貿易赤字を企業の赤字と錯誤するトランプ大統領

実際のところ、米中貿易摩擦で損するのはどちらなのか。

かつて、トランプ大統領はTwitter上で「貿易戦争は良いことで、簡単に勝てる」と発言したことがある。恐らく「関税をかければたくさん輸出している国が困る」という発想があるのだろう。

トランプ大統領は貿易収支の黒字・赤字を企業収益の黒字・赤字のように錯誤している節があり、「先方(中国)の輸出(売上)を制限すれば、痛手に違いない」という発想をいかにも好みそうである。6月19日、対中強硬派として知られるナバロ国家通商会議(NTC)委員長は会見で、「(報復の連鎖で)中国の方が失うものが多い」と発言しているが、これもまさにトランプ政権のスタンスを象徴した発言と言える。

政権内では、ムニューシン米財務長官やクドロー国家経済会議(NEC)委員長がこうした偏った政策スタンスにブレーキをかけたいようだが、ナバロ委員長やライトハイザーUSTR代表がこれに対峙する構図が定着しており、大統領も後者寄りゆえ、現状に至っているのだと思われる。

中国が多くのアメリカ製品に対して課している関税率は、アメリカが同等の中国製品に対して課している関税率よりも高いという事実もあり、大統領一派のタカ派スタンスが完全に的外れとも言えない部分があるのも悩ましいところである。

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