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<安倍内閣>支持率回復基調の理由 移ろう無党派

7/8(日) 11:20配信

毎日新聞

 森友・加計学園問題などで逆風が吹いた安倍内閣の支持率が、回復傾向を見せている。毎日新聞が6月23、24日に実施した全国世論調査の内閣支持率は36%。2月の45%にはまだ及ばないが、5月の31%からは明らかに回復している。いったいどういった人たちが再び内閣支持に戻ってきたのだろうか。【論説委員・平田崇浩】

【グラフで見る】無党派層の内閣支持率と不支持率

 ◇3月調査の前後で政党支持率に大きな変化なし

 毎日新聞の世論調査で、「森友学園や加計学園の問題で、安倍晋三首相に責任があると思いますか」との質問に「責任がある」と答えた人は60%、「責任はない」は24%だった。森友・加計問題で安倍首相への批判は根強い。

 首相に「責任がある」と答えた人でも、そのうち23%が安倍内閣を支持している。当然のことながら、「責任はない」と答えた人の内閣支持率は74%と圧倒的に高い。

 内閣支持率が急落したのは、財務省による森友文書改ざんが発覚した3月だった。加計問題でも4月に愛媛県の文書で首相官邸の関与が濃厚となり、森友・加計問題が支持離れにつながったのは明らかだ。そこから、なぜ支持率が回復基調を見せてきたのだろうか。

 実は3月調査の前後で政党支持率に大きな変化はない。自民党の支持率は30%前後、「支持政党はない」と答えた無党派層は40%前後で推移している。

 無党派層に限って内閣支持・不支持の割合をみると、5月は15%まで落ち込んでいた内閣支持率が6月は20%まで回復し、56%に達していた不支持率が44%に下がった。なおダブルスコアで不支持率の方が上回っているものの、無党派層の中で不支持から支持への移動があったことをうかがわせる。

 過去に安倍内閣の支持率が50%を超えていた2013年や17年の一時期をみると、無党派層の内閣支持率は不支持率を上回るか、拮抗(きっこう)していた。

 なぜ無党派層の中で支持の揺り戻しが起きたのだろうか。

 ここからは推測になるが、森友・加計問題への関心が薄まっていると考えるほかない。

 安倍内閣を支持しない人の多くはもともと「安倍嫌い」で、森友・加計問題もけしからんと思っているのだろう。内閣支持に戻った人たちは、森友・加計問題とは別の物差しで首相を評価したということだ。

 「野党はモリ・カケばかり。もっと重要な課題がある」

 政権側が繰り返してきたこの主張が一定の効果を持ったといえるだろう。

 4月中旬から大型連休を挟んで審議拒否を続けた野党の国会戦術は明らかに誤りだった。その間、結党の手続きを進めた国民民主党の政党支持率は「新党ご祝儀」もなく5月1%、6月0%と地をはっている(※念のため説明しておくと、小数点以下第1位を四捨五入しているので、0%といっても支持回答がゼロだったわけではない)。

 立憲民主党の政党支持率は5月13%、6月11%と野党の中では健闘している。

 しかし、森友・加計問題で首相に「責任がある」と答えた人の政党支持率をみても立憲民主党は17%に過ぎず、自民党の23%、「支持政党はない」の47%に及ばない。

 立憲民主党がどんなに厳しく森友・加計問題を追及しても、そればかりでは支持は広がらない。

 誤解してほしくないのだが、森友・加計問題はもう追及しなくていいと言いたいのではない。

 首相の関与や官僚の忖度(そんたく)で行政がゆがめられた恐れのあること、行政府が国会にウソをついていたこと、政権に不都合な情報を隠して開き直っていること--。

 この不祥事を見過ごしてしまえば、民主国家としての日本の将来にたいへんな禍根を残すのではないかと危惧している。

 だからこそ、稚拙な審議拒否ではなく、働き方改革から北朝鮮問題まで、政権側の土俵に乗ってでも徹底的に論戦すべきだった。

 権力を監視するという意味で、野党と報道機関の役割は重なる。大きな違いは、野党の究極の目的が政権を倒して権力を奪うことにあるのに対し、報道機関は国民に必要な情報を提供して判断してもらうために存在する点だ。

 国民が聞く耳を持ってくれなくては報道する意味がなくなる。野党支持層だけに届けばいいわけではない。政権側が無視できないよう、いかに与党支持層や無党派層にも届けるか。

 18歳から30歳代の内閣支持率がほかの世代より高い傾向が続いている。

 「一番新聞を読まない世代だ。新聞を読まない人は全部、自民党(支持)だ」

 これは麻生太郎副総理兼財務相の得意とする皮肉であり、本音でもあろう。新聞が何を書いても、若い世代が読まなければ気にする必要はないと言わんばかりだ。

 これでは「よらしむべし、知らしむべからず」。都合の悪い情報は隠せばいい。道理の通らないことでも権力者の思うがままにできる。

 ◇毎日、朝日の支持率が低く出がちな理由

 世論調査に話を戻そう。

 報道各社の世論調査を比べると、毎日新聞と朝日新聞の内閣支持率は他社より低く出る傾向がある。政権側からは「反安倍だからだ」と嫌みを言われることもある。意図的に数字をいじっていると本気で疑う人もいるようなので、改めて説明しておきたい。

 毎日新聞が内閣支持率を調査するときは「支持する」「支持しない」「関心がない」という三つの選択肢を読み上げて回答してもらう。支持・不支持の2択だったり、分からないと答えた人に「どちらかといえば支持しますか」などと重ね聞きをしたりする他紙より支持率・不支持率ともに低く出る傾向がある。

 ちなみに6月の各社の調査結果を以下に列挙してみる。

<毎日>支持36%▽不支持40%▽関心がない22%

<朝日>支持38%▽不支持45%

<読売>支持45%▽不支持44%

<日経>支持52%▽不支持42%

 朝日は読売、日経と同じ2択だが、重ね聞きはしていないようだ。

 重ね聞きをすれば、「何となく安倍首相でいいや」と感じている人が多いときは支持率が高く、世の中のムードが「何となく安倍首相は嫌だな」となれば不支持率が高い傾向が表れやすい。

 質問された人が「朝日は安倍政権に批判的だから」「読売は安倍政権支持だから」などという印象に引きずられるのではないかと考える人もいる。新聞社名によるバイアス効果説だが、具体的なデータで実証されていないし、私は違うと思う。

 いずれにせよ、世論調査は対象者のサンプリング(抽出)方法や質問の仕方によって結果が変わるものなので、継続して同じ聞き方をして傾向を分析する必要がある。

 新聞社による違いをみるよりは、同じ新聞社の毎月の調査結果の推移を追うことに意味がある。

 安倍内閣の支持率についていえば、財務省による文書改ざんが明らかになった3月に急落し、4、5月に下げ止まり、6月に回復基調に入った点で各社の調査結果は一致している。

 米国でも、「不法移民」の親子を引き離す非人道的な政権対応が批判を浴びているが、トランプ大統領の支持率は底堅いようだ。

 安倍首相もトランプ大統領も3~4割の岩盤支持層に支えられているといえそうだが、それだけでは選挙に勝てない。

 移ろいやすい無党派層の動向をこれからも注視していきたい。(毎日新聞政治プレミア)

最終更新:7/8(日) 11:20
毎日新聞