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脚本家デビュー30年の野島伸司氏、役者に求められるのは「芝居のうまさより圧力」

7/9(月) 10:02配信

スポーツ報知

 11日にスタートする女優・石原さとみ(31)主演の日本テレビ系連続ドラマ「高嶺の花」(水曜・後10時)の脚本を手掛ける野島伸司氏(55)が、このほどスポーツ報知の単独インタビューに応じた。初タッグを組む石原には美貌と才能を持つ華道家役を託し、「華やかで強く、一方で孤独で繊細な女性」を描く。1988年の脚本家デビューから30年。90年代を中心に社会に衝撃を与えるヒット作を連発した希代の脚本家の思いを聞いた。(星野 浩司)

【写真】着物姿で華道家を演じる石原さとみ

 野島氏がテレビの連続ドラマの脚本を手掛けるのは、16年のフジテレビ系「OUR HOUSE」以来2年3か月ぶり。今作は、約8年前に対面してから野島作品への出演を熱望し続けた石原と初タッグを組む。

 「さとみちゃんも着実にキャリアを重ねて、自信と風格が出てドスが利いてきたように感じた。今の彼女で書けるのは最高のタイミング。プロデューサー感覚もあって、自分で世界観を作れる女優さん」

 石原演じる美貌と才能を持つ華道家が、平凡な自転車店主(峯田和伸)と繰り広げる格差恋愛を描く。

 「華やかで強く見えても本当は孤独で繊細な女性。スペックが高いアーティストの苦悩が核になる。よくある男女の三角関係でなくて、芸術をとるか恋に生きるかの変則的な三角関係。自分のアーティスト性に恋心が邪魔になるヒロインはいちずで、視聴者が感情移入しやすいと思った」

 石原が峯田を激しく罵倒するなど、2人の軽妙な掛け合いに注目が集まる。

 「何を言っても許されるお嬢様のさとみちゃん、独特な包容力のある峯田くん。ここまで男女2人にとがったキャラに振ったのは初めて。ドSとドMにも見えるかもしれない。仕上がりが読めないけど、日常を離れてのみ込めるエンターテインメントです。僕は脚本を書いた後は現場にパスして、一視聴者として楽しむだけ」

 脚本家人生は30年。「22歳の頃、たまたま書いた脚本がフジテレビのシナリオ大賞をもらえた。引っかかってなきゃ二度と書いてない」。90年代は多くの作品で高視聴率を獲得。「当時はF1層(20~34歳)が見てくれて視聴率が良かったけど、今は7割くらいが60歳以上。医療や刑事もので一話完結にしないと次週には忘れちゃう。時代は劇的に変わったよ」

 92年の「愛という名のもとに」から、暴力、いじめ、同性愛、自殺問題などを描いた衝撃作を連発。女子高生と教師の禁断の恋を描いた「高校教師」や、障害者の虐待を題材とした「聖者の行進」は高視聴率を誇った一方で、視聴者からの批判も強かった。

 「実際に起きた事件を取材して書いた『聖者―』とか、そこに光を当て続けないといけないんだと当時は思っていた。でも、抗議もすごくて。テレビ局や僕にヤバい手紙が山ほど来た。身の危険を感じながら生きていたけど、批判されないものを書いてもつまらない」

 最も印象に残る俳優はいしだ壱成(43)で、「芝居が神懸かってた」という。女優では、桜井幸子さん(44)=09年引退=を挙げた。

 「作家と女優という意味では彼女あっての僕です。番組をレジェンドのままにしていなくなった彼女には本当に感謝してます。彼女は画面をノーブル(高貴)に締めてくれた。どの作品もヒロインを同じ役者で固定したいけど、そういう女優に巡り合わない。それが僕の晩年の不幸です」

 16年から俳優育成スクール「ポーラスター東京アカデミー」で総合監修を務めている。「テレビで主役になる役者に求められるのは、芝居のうまさより圧力。桜井幸子や、さとみちゃんのような華のある人。ファンとアンチを両方持ってないといけないのが宿命ですね」

 ◆野島 伸司(のじま・55歳しんじ)1963年3月4日、新潟県生まれ。55歳。中大法学部を3年で中退後、米カリフォルニアに留学。88年フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。同年フジ系「君が嘘をついた」で連ドラの脚本家デビュー。90年代を中心にドラマが高視聴率を獲得。最近では2017年のHulu「雨が降ると君は優しい」などウェブ配信作品も手掛ける。プロ野球・ソフトバンクファンで、好きな選手は城島健司と柳田悠岐。血液型A。

最終更新:7/14(土) 11:40
スポーツ報知

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