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【14億分の1:中国事件簿】「美人看護師」で泌尿器科が「客引き」高額請求 貴州省の病院を捜査

7/8(日) 17:25配信

東方新報

【東方新報】中国・貴州省(Guizhou)遵義市(Zunyi)にある泌尿器科の欧亜男科医院に6月27日、詐欺の疑いで公安局の捜査が入った。病院は現在、診察を停止中だ。

 警察によると、同病院は大量に人材を募集し、不特定多数の男性へチャットによって病院へ診察に来るように誘導していた。その過程でうそや誇大した病状を伝え、過度な治療を行うなどして金銭をだまし取っていたといい、公安局に通報が相次いでいた。警察が関係者の取り調べを続けている。

 ■医療知識ない「コンサルタント」、SNSの写真は「美人看護師」

 以前、同病院で「インターネットコンサルタント」として働いていたという劉さんによると、中学校に在学中の2年前、同病院の「インターネットコンサルタント」募集の求人情報を見つけた。備考欄には、「最終学歴は中卒程度」。劉さんは、働きながらスキルを身に付けたいと思い応募した。

 劉さんは翌日、病院で面接を受けた。中学卒業前だった劉さんは、仕事の経験も医療の知識もないが「コンサルタント」になれるか心配だと、担当者に正直に質問した。担当者は、「大丈夫。ゆっくり勉強していけばいいから」と劉さんに声をかけ、その翌日からの出勤が決まった。

 劉さんら「インターネットコンサルタント」の事務所は病院内の一室に設けられ、15人ほどいた。各人がパソコンを1台ずつ与えられ、コンサルタントたちはそれぞれ責任者から微信(ウィーチャット、WeChat)のアカウントを与えられ、男女を問わずアカウントのアイコンは「美人」女性看護師の写真を使うように指示された。また、看護師の身分を疑われないために、ウィーチャットの「モーメンツ」には定期的に病院内での仕事や自分の生活に関する写真などを更新しなければならなかった。

 毎日、事務所のパソコンに入っているソフトで市内の適当な場所を選んで、「付近の人」を調べ、男性のユーザーに友人申請を送り続けた。劉さんは、チャットを通じて患者に対し何らかのコンサルティングをするのだと思っていたが、担当部署の責任者は「相手にどんな問題があったとしても、重病の可能性をほのめかし、来院させることが目的だ」と説明した。

「コンサルタント」のほとんどに医学の知識がなかったため、問い合わせ内容に応じた模範回答をまとめたワードファイルがパソコン上に準備されていたので、相談を受けた際は「コピー&ペースト」するだけでよかった。患者を病院に誘うことができると、女性の「コンサルタント」が看護師の制服を着て入口で出迎えたという。

 ■「生殖能力に影響」ほのめかし、余分な治療を追加

 事情に詳しい人によると、「コンサルタント」は一般的に、ウィーチャット上で患者に伝える診療費は比較的低め。実際に病院に足を運んでしまうと、医師に手術が必要だと診断され、徐々に診療項目が増えていき、費用もどんどん上がっていくのだという。

 龔さんは今年1月、同病院を受診した際、医師には数百元の簡単な手術で済むと伝えられたという。だが、「手術台に上がって麻酔を打たれた後、主治医が突然、患部に腫瘍を発見して深刻な状況だと言った。すぐに治療しなければ、生殖能力に影響が出ると言われた」。怖くなった龔さんは治療を受けることに同意し、9700元(約16万円)の手術費を支払った。その後もさまざまな治療を勧められ、最終的な支払額は2万元(約33万円)以上に上っていたという。

 楊さんは1年前、ウィーチャットで「女性看護師」と友達になり、自分が早漏ではないかと悩みを相談した。「女性看護師」からの二つの質問に答えると、楊さんは「性機能障害」の疑いがあるため病院での検査を勧められた。当時、まだ19歳だった。

 病院での検査後、2種類の手術が必要で、費用は約5000元(約8万円)だと伝えられた。医師は、「いつかは治療が必要なんだし、手遅れになるかもしれない」。迷ったが、手術を受けた。

 治療を半分まで終えた医師は、「腫瘍が血管を塞いでいるため、生殖機能に影響が出ている。もう一度手術が必要だ」と言うではないか。楊さんは怖くなって、知り合いに4000元(約6万5000円)を借金し、残りの1000元(約1万5000円)は病院に待ってもらった。最終的に治療費は1万元(約16万円)まで膨れ上がった。

「患者がお金を払ってくれないと、コンサルタントにも収入が入らない」と劉さん。「コンサルタント」の基本月収はたったの1800元(約3万円)で、あとは歩合制。自分が呼び寄せた患者が支払った額の20%が、歩合として上乗せされた。中には、ひと月2万元(約33万円)稼ぐ者もいたという。

 登記によると、欧亜医院は2003年に設立した個人独資企業で、14年に責任者が変わっている。インターネットの病院紹介によると、中国の性機能障害と不妊不育研究院付属の病院で、医療や予防、保健、リハビリサービスなどを提供している総合病院だと記されている。

 だが、同病院は過去に2回、医療紛争で訴えられている。13年にはある患者が腰椎椎間板ヘルニアで手術を受けたが、何の効果もなかったどころか病状が悪化し、ほかの病院で「不完全まひ」と診断された。その後もなんども治療を受けたが、一向に治らなかったという。西南政法大学(Southwest University of Political Science & Law)が鑑定を行ったところ、欧亜医院が患者に対して行った治療の過程に医療ミスが存在し、患者が被った損害に直接的な関係があるとされ、66万元(約1100万円)の損害賠償の支払いを命じられている。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:7/9(月) 22:10
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