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さくらリポート、多くの先行き懸念材料 貿易摩擦、豪雨…全地域で景気判断据え置き

7/10(火) 7:15配信

SankeiBiz

 日銀が9日に公表したさくらリポートでは景気の改善基調が示されたが、一方でトランプ米政権の保護主義が各地域の企業心理を圧迫し、先行き不透明感が強まっている。さらに、西日本の豪雨による広域被害で物流寸断や工場停止が相次いでいることも、景気への打撃として懸念される。「高級車『レクサス』など日本から米国に輸出する車両の生産が減少しないか心配だ」。愛知県のトヨタ自動車系列のエンジン部品メーカー大手幹部は、先行きへの不安をあらわにする。

 景気の最大のリスク要因と目されるのが米国発の貿易摩擦だ。米国は日本に対して鉄鋼・アルミ製品に続き、自動車への高関税も検討する。米国と中国は幅広い分野で高関税をかけあっており、貿易停滞などで米国や中国の景気が悪化すれば、輸出主導の日本経済にも影響が出るのは必至だ。

 さくらリポートでも「自動車関連で米通商政策への懸念の声が聞かれた」(調査統計局)。実際に国内メーカーに事業計画を修正する動きは出ていないが、海外では独ダイムラーが米国から中国に輸出する車両が下振れするとして今年の利益見通しを下方修正した。

 愛知県で自動車部品を切削加工する中小企業の首脳は「足元で生産は忙しいのに、将来への不安から設備投資を抑えざるを得ない」と語った。こうした動きが広がれば、旺盛な投資が景気回復を牽引(けんいん)するシナリオも崩れかねない。

 先行き懸念に拍車をかけるのが、西日本の大雨による被害がまだ読み切れないことだ。日銀の山田泰弘大阪支店長は「交通網など各種インフラに大きな被害が出ており、生産や物流、経済への影響を丹念にフォローする」と述べた。

 不安要素がくすぶる中で、堅調な景気が息切れすれば物価上昇の逆風となる。足元でも物価の伸びは鈍り、日銀は7月末の金融政策決定会合で物価が伸び悩む理由を検証する。日銀内では、大規模金融緩和を粘り強く継続すべきだとの声が強い。景気の腰折れ懸念が強まれば、追加緩和を求める声に勢いがつきかねず、政策委員の間でせめぎ合いになる可能性がある。

最終更新:7/10(火) 7:15
SankeiBiz