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オリオン電機×SOZOデザイン、音の良いテレビ「極音」シリーズ誕生秘話

7/9(月) 17:05配信

Stereo Sound ONLINE

音の良さはパーソナルテレビの新しい価値観となった!

 昨年の10月、福井県にある電機メーカー、オリオン電機から「極音」(きわね)という愛称の液晶テレビが発売された。32型の「RN-32SH10」、24型の「RN-24SH10」の2モデルだ。これは、「極音」という愛称の通り、内蔵スピーカーの音質に徹底してこだわったテレビだ。

【画像】内部のスピーカーも公開

 この2モデルについて、私は発売に合わせて取材し、Stereo Sound ONLINEで速報レビューとして取り上げている。声も音楽も聴きやすいサウンドは、このクラス随一。追加スピーカー不要の再生能力には関心させられた。

 そして今年の5月1日。オリオン電機株式会社と株式会社SOZOデザインの両社の業務提携が正式に発表された。「極音」シリーズは、この両社が協業して開発した製品の第1号機だったのである。

 音質の良さは薄型テレビの大きな価値になる。オリオン電機とSOZOデザインが生み出した「極音」シリーズは、どのようにして誕生したのか。両社の協業がはじまった経緯などを含めて、両社の取り組みについてレポートする。

実績あるORIONブランド。だが、消費者の知名度は……

 薄型テレビのメーカーで、オリオン電機の名前を思い出す人はあまり多くはないだろう。創業60年の老舗メーカーであり、薄型テレビの開発も長年行っている。また、自社ブランドのテレビ製品も展開しているが、どうしてもOEM生産のイメージが強く、一般の消費者からの認知度は決して高くないのが実状だろう。

 そんなオリオン電機にやってきたのが、市川博文さんだ。彼は2015年までオーディオメーカーのディー・アンド・エムホールディングスの代表取締役を務めていた人物で、主にデノンブランドでオーディオ製品の企画・開発を行なってきた。元日本オーディオ協会理事でもある。

 市川さんは、オリオン電機に入ると地デジ化後の需要の低迷で業績が悪化していたテレビ事業の立て直しを任され、戦略の一つに、音の良さを武器とした薄型テレビの開発を模索する。

 オリオン電機は、薄型テレビを100%自社で開発・量産を行なっているメーカーで、優れた技術やノウハウの蓄積もある。だが、音の良さを追求するという点においては、経験不足だった。

 そこで市川さんは、2016年にSOZOデザインを設立した山本喜則さんに協力を求めた。山本さんはソニーのオーディオ事業部本部長として、長くソニーのオーディオ事業に関わってきた音のプロフェッショナル。元日本オーディオ協会副会長として、市川さんとともにオーディオ普及のために尽力した仲でもある。メーカーは違えど、同じオーディオの世界で活躍した同志だったのだ。

「私がオリオン電機に入ったのと、山本さんがSOZOデザインを興したのがほぼ同じタイミングだったのは、まさに奇跡でした。オリオン電機の技術力とSOZOデザインのオーディオ製品開発の技術やノウハウがあれば、薄型テレビに新しい価値を生み出すことができる。そう考え、山本さんにアプローチしました」(市川さん)

 SOZOデザインは、オーディオ製品を中心とした設計・デザインを手がける会社で、基板設計からオーディオ製品の開発まで、豊富なノウハウを持った技術者が集まっている。そんなSOZOデザインのオーディオ開発の技術や知識と、オリオン電機の薄型テレビ開発・量産の技術を武器に、「極音」シリーズの開発がスタートした。

 画面サイズは検討の結果、身近な価格でリビングからプライベートルームまで幅広く使える、ミドルサイズの32型と24型に絞った。このクラスは、他社が価格優先で製品を展開しており、特に音質がおろそかになっている傾向が強い。「このクラスなら音の良さで勝負できる」(市川さん)という目算もあった。

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最終更新:7/9(月) 17:05
Stereo Sound ONLINE