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Windows 10への移行を支援する中小企業向け「Microsoft 365 Business」(その2)

7/10(火) 8:00配信

@IT

企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

●Windows 10へのアップグレードとWindows 10 Businessのセットアップ

ユーザーは、Microsoft 365 Businessの管理者から取得したユーザーの資格情報を指定して、Azure AD参加設定をするだけ

 300ユーザーまでの中小規模の企業をターゲットにした「Microsoft 365 Business」は、Windows 7/8.1のWindows 10へのアップグレードと、Office 365 Business Premiumと同等の企業向けOfficeアプリ、オンラインサービス(メールやオンライン会議などのコラボレーションサービス、1ユーザー当たり1TBのオンラインストレージ)に、Microsoft 365 Businessに特有の一元管理機能をセットにした統合型ソリューションです。

 WindowsデバイスからMicrosoft 365 Businessのサービスを利用するには、Windows 10 Pro バージョン1703(Creators Update)以降を実行していることが前提条件になります(詳しくは説明しませんが、AndroidおよびiOSデバイスの管理にも対応しています)。

 現在、Windows 7 ProfessionalまたはWindows 8.1 Proを実行するデバイスがある場合は、Windows 10 Proにアップグレードできます。Microsoft 365 Businessの「ホーム」にあるダウンロードリンクは、Windows 10の一般向けダウンロードサイトと同じ場所を指しています。「Windows 10アップグレードアドバイザー」またはインストールメディアをダウンロードして、アップグレードインストールを実行します。現在は、最新のWindows 10 バージョン1803(April 2018 Update)にアップグレードすることになります。

 最新のWindows 10 Proにアップグレードしたデバイスと、既にWindows 10 Pro バージョン1703以降を実行しているデバイスは、Microsoft 365 Businessが提供する「Azure Active Directory(Azure AD)」に接続することで、Microsoft 365 Businessの管理対象になります。

 ユーザーが行う作業は、Windows 10の「設定」アプリの「アカウント」→「職場または学校にアクセスする」から「このデバイスをAzure Active Directoryに参加させる」を選択し、Microsoft 365 Businessの管理者から入手した会社アカウントのユーザーの資格情報を入力することです。

 Microsoft 365 Businessの管理対象になったことは、Azure AD参加設定の状態、またはWindows 10の「バージョン情報」がWindows 10 Businessに切り替わっていることで確認できます。

●新規デバイスのWindows AutoPilotによるセットアップ

 Microsoft 365 Businessは、「Windows AutoPilot」による新規デバイスのセットアップにも対応しています。
 
 Windows AutoPilotによるセットアップには、Windows AutoPilot対応のOEMベンダーから「デバイス情報」を事前に取得しておく必要があります。Microsoft 365 Businessの管理者は、OEMベンダーから取得したデバイス情報をMicrosoft 365 Businessの管理ポータルにアップロードし、「AutoPilot展開プロファイル」を作成してデバイスまたはデバイスグループに関連付けます。

 ユーザーは初回起動時のOOBE(Out-Of-Box Experience)セットアップでユーザー資格情報の入力と最小限の対話を行うだけで、Windows 10 Businessとしてセットアップを完了することができます。

●最新Officeアプリの自動インストールと削除

 Microsoft 365 Businessは、最新の32bit版Officeアプリを管理対象のWindows 10デバイスに自動インストールする機能を提供します。この機能は、Microsoft 365 Businessの管理ポータルで「Officeの展開の管理」を開き、「すべてのユーザー」または管理者が作成したセキュリティグループに対して「できるだけ早くOfficeをインストールする」を構成するだけで行えます。

 同じ手順で、Officeアプリの自動アンインストールを指示することも可能です。

 Windows 10デバイスのユーザー側では何も操作する必要がなく、自動的に「Officeクイック実行(Click To Run:C2R)」クライアントが展開され、ダウンロードとインストールがバックグラウンドで行われます。

 インストールの進行状況はユーザーには見えませんが、「タスクマネージャー」では「Microsoft Office Click To Run(SxS)」プロセスが動作していることを確認できるでしょう。インストールが完了すると、スタートメニューにOfficeアプリのアイコンが登録され、利用可能になります。

 「Outlook」のメール設定や「OneDrive for Business」の同期設定では、ユーザーの資格情報の入力が必要な場合もありますが、ほとんどの作業環境は自動的にセットアップされます。

 Microsoft 365 BusinessのOfficeアプリは、クイック実行版のOffice 365 Business(月次チャネル)です。クイック実行版のOfficeアプリは、Officeアプリに組み込まれた自動更新機能で自動的に最新バージョンに更新され、新機能が追加されます。

●会社のデータとデバイスのリモートワイプ

 Microsoft 365 Businessには、簡易的なデバイス管理機能があります。Windows 10デバイスに対しては、「会社のデータの削除」や「出荷時の設定にリセット」をリモートから実行できます。これらの機能は、デバイスの紛失時や廃棄時にクリーンアップするのに利用できます。

 「会社のデータ」は、会社アカウントによるAzure AD参加設定、Officeアプリ、パスワード要件などのポリシー設定のことです。会社データを削除すると、Microsoft 365 Businessの管理対象ではなくなり、会社アカウントではサインインできなくなります。また、Windows 10 BusinessはWindows 10 Proに戻ります。

 「出荷時の設定にリセット」は、Windows 10の「設定」アプリの「更新とセキュリティ」→「回復」から実行できる「このPCを初期状態に戻す」→「すべて削除する」と同様の操作が、リモートから実行されます。多少のタイムラグはありますが、「出荷時の設定にリセット」を実行すると、Windows 10デバイスが再起動されて、初期化処理が始まります。完了すると、そのデバイスで実行していたバージョンのWindows 10 Proをクリーンインストールしたのと同じ状態で起動します。

●筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門-完全版』(日経BP社)。

最終更新:7/10(火) 8:00
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