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初代「R」の不満も解消 「AQUOS R2」で目指した“快適さ”

7/10(火) 11:18配信

ITmedia Mobile

 シャープの新たなフラグシップスマートフォン「AQUOS R2」の開発者インタビュー。前編ではカメラ機能に焦点を当てたが、後編ではディスプレイやパフォーマンスについて話を聞いていく。

AQUOS R2で復活した機能

●さらに額縁を狭くできた理由

 AQUOS R2は約6型のWQHD(1440×3040ピクセル)のIGZO液晶ディスプレイを搭載。「AQUOS R compact」と同様に、液晶の形を自由に変えられる「フリーフォームディスプレイ」を採用することで、額縁をギリギリまで狭めながら、角を削ることに成功。本体全体も丸みを帯びている。

 インカメラは液晶をくりぬく形で上部に搭載しており、違和感なく自分撮りができる。同じ形状のAQUOS R compactのインカメラは800万画素だったが、AQUOS R2では1600万画素にアップしており、カメラモジュールも大きくなっている。通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部の佐藤雄一氏は「カメラの存在感をなるべく消し、いかに詰めるかにこだわりました」と苦労を話す。

 下部は指紋センサーを搭載する関係で、額縁を比較的広く取っているが、佐藤氏によると、よりギリギリまで狭額縁化できるよう、下部のガラスは角をわずかにカットしているという。液晶自体は角が削られているが、ガラスはその下まで伸びている。AQUOS R compactのガラス(下部)は角がとがっているが、R2は角を削っているため、より額縁を狭めることができた。

 このガラスを削った部分にアンテナを置くことで、より効率よく部品を配置できるようになった。さらに、指紋センサーはR Compactでは液晶ドライバと並列で置いていたが、R2では液晶ドライバの上に搭載することで、その分スペースに余裕が生まれ、ここでも部品の配置効率が上がっているという。

●ディスプレイの駆動を120Hzから100Hzに下げても問題なし?

 AQUOS R2のディスプレイは、残像感のない滑らかな表示が可能な「ハイスピードIGZO」に対応しながら、AQUOS Rから応答速度を25%向上させた。一方で、1秒あたりの画面の更新回数は、AQUOS Rの120(120Hz)から100(100Hz)に減っている。なぜスペックを下げながら、応答速度が向上したのだろうか。

 佐藤氏は「120を追うべきだという議論もありましたが、結局のところパフォーマンスが良くないと意味がありません。AQUOS Rを深いところまで解析した結果、まだチューニングできる点がありました」と振り返る。

 通信事業本部 パーソナル通信事業部 システム開発部の田邊弘樹氏によると、AQUOS Rでは確かにカクツキがない一方で、120Hzに間に合わないとフレームが欠けることがあるという。AQUOS R2ではコマ落ちしないよう、あえて100Hzに下げたというわけだ。

 「シャープ純正のアプリは120Hzでも回せると思いますが、解像度が大きいものを無理やり120Hzで動かそうとすると、コマ落ちすることがあります。100Hzだと、10分の1~30分の1ぐらいコマ落ちが減ったアプリがあるので、全体の滑らかさは100Hzの方が高いと判断しました」(通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏)

 応答速度が上がっているので、「違いが分からないほど滑らかに動いている」(小林氏)という。応答速度の向上は「(液晶の)材料を変えることで、制御する電圧を上げやすくなった」(佐藤氏)結果とのこと。

●放熱対策のさらなる工夫

 放熱対策も、「普通だとやらないことをしている」と佐藤氏が言うほど工夫している。AQUOS R2はAQUOS Rから液晶が18%大きくなっており、Rよりもバックライトを強くしないと同じ輝度が得られない。輝度が上がるほど発熱しやすくなり、かつ熱源に近いところに指紋センサーがあるため、ここが熱くなりやすい。そこで、グラファイトシートをバックライトの裏側に広げることで、本体全体に熱を広げるよう工夫した。表側で発生した熱を裏に逃がしているというわけだ。

 表面温度は、AQUOS Rから取り入れているノウハウを生かし、外側に近い場所に温度センサーを配置し、より正確に温度を測ってパフォーマンスを落とさないようにした。

 また、内部の金属板とアルミフレームを一体成形することで、中に熱がこもらないようにした。これはAQUOS R compactでも取り入れている手法だ。AQUOS Rでは金属板とアルミフレームを溶接でつないでいた。「早く放熱をさせるので、最初の温度は高く感じるかもしれない」(小林氏)が、すぐに熱が分散されるので、常に熱いと感じることは少ないはずだ。

 AQUOS Rでは標準カメラと動画用カメラを使い、動画を撮りながら、もう1つのカメラで静止画を撮るという「AIライブシャッター」を搭載している。これは端末に相当の負荷がかかる動作であるため、「今まで以上にデリケートに放熱設計をしました」と小林氏。その結果、AQUOS R2では長時間の動画撮影もこなせるようになり、「数十分は撮影を続けられる」(小林氏)そうだ。

●背面に3Dガラスを搭載

 続いてデザインについて見ていく。フレームの中心部を突起させることで手にフィットするようにした「エモーショナルエッジ」をAQUOS Rから継承しており、コーナーに行くに従って突起が緩やかになる。背面には3Dガラスを採用し、フチが適度にカーブしているので手に優しい。さらにR2のフレーム自体にもカーブをかけており、横から見ると、あたかも端末全体が弧を描いているように見える。

 背面がガラスなのもAQUOS Rとの大きな違いだ。IoT通信事業本部 デザインスタジオ シニアデザイナーの芝田博和氏によると、ガラスの表面に金属のコーティングを施したことで、強く反射して、滑らかな光沢感が出るという。もちろん「フラグシップ機にふさわしい高級感」(芝田氏)が得られるという理由もある。ちなみにシャープのスマートフォンで3Dガラスを使うのは初めてとのこと。表はCorning Gorilla Glass 3、背面はCorning Gorilla Glass 5を採用して強度も確保した。

 本体カラーは、プレミアムブラックとプラチナホワイトの2色は3キャリア共通だが、キャリア独自のカラーとして、ドコモ版はコーラルピンク、au版はアクアマリン、ソフトバンク版はローズレッドをそろえた。芝田氏によると、女性からの支持も得られるよう、女性に好まれる色を中心に選んだという。アクアマリンは2018年のファッションにおけるテーマカラーでもある。

●復活した2つの機能

 AQUOS R2では、AQUOS Rで省かれた2つの機能が復活している。1つが「のぞき見ブロック」。かつては「ベールビュー」とも呼ばれていた機能で、斜め方向からの画面を見にくくする機能だ。「ディスプレイの視野角が広すぎて、のぞき見ブロックは省いた」(佐藤氏)が、「なぜ搭載していないのか」という声が、思いのほか多かったという。

 「ベールビュー自体も搭載してから長い時間がたち、もうこなれた技術かな、なくなってもそれほど影響ないかなと思うところもありました」と佐藤氏は振り返るが、熱烈な要望があることが分かったので、復活させることにした。「広い視野角はそのままに、アルゴリズムをチューニングすることで搭載にこぎ着けました」と佐藤氏。

 もう1つが「コンテンツマネージャー」だ。コンテンツマネージャーは、内蔵ストレージやmicroSDに保存した画像、動画、音楽、ドキュメントなどの各種データを管理できるアプリ。最近のスマートフォンAQUOSは、極力プリインストールアプリを減らしており、その一環でコンテンツマネージャーも省かれていた。

 ファイル管理アプリはGoogle Playなどで多数配信されているため、搭載しなくても問題ないと考えたのと、「OSバージョンアップを約束していく中で、独自アプリが足を引っ張ることがある」(小林氏)という理由で外したが、これもユーザーから疑問の声が多く挙がったという。「ファンイベントでも、コンテンツマネージャーがないのは信じられないといった声があり、暴動が起きるんじゃないかというほどでした」と小林氏は苦笑いする。

 コンテンツマネージャーはフォルダがないシンプルなUI(ユーザーインタフェース)が特徴で、本体とmicroSDのデータを切り替えたり、本体とmicroSD間でデータを移したりできるのが好評だという。AQUOS R2では、Android標準の「ファイル」アプリをカスタマイズする形でコンテンツマネージャーを復活させた。

 動画専用のカメラが注目を集めやすいAQUOS R2だが、ディスプレイ、操作感、放熱対策、デザインなど細部にも工夫が凝らされていることが分かる。購入を検討している人は、ぜひ店頭などで実機に触れ、シャープが目指した快適さが本物であるかを確かめてほしい。

最終更新:7/10(火) 11:18
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