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政治家の「結婚しないと子は生まれない」発言に不快感…42歳独身女性、婚活やめて見つけた「楽しい人生」

7/10(火) 16:53配信

朝日新聞デジタル

 結婚、出産は個人の自由、と言いながら、まだまだひとり身の女性に対する視線には厳しいものがあります。シングル女性たちからため息が漏れます。

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 愛知県内の非正規の保育士の女性(42)は今年5月、新聞を読んで目を疑った。

 「結婚しなければ子どもが産まれない。人様の子どもの税金で老人ホームに行くことになる」

 政治家の発言がニュースになっていた。発言は、未婚で子どもがいない自分に向けられているような気がした。「なんでそこまで言われなければいけないのか」。いつまでも不快感が残った。

 地元の短大を卒業し、保育士になったが、人間関係に息苦しさを感じ、30歳で退職。専門学校で簿記などの資格を取り、法律事務所の秘書に転職した。だが、ハードワークで半年も続かなかった。

 これから先、どうなるんだろう――。年をとった自分を想像してみた。家族も、趣味もなく、経済的にも苦しい姿しか浮かび上がらなかった。

 そんな自分にならないためには? 答えは、結婚だった。実家を出て、自分の家庭を持ちたい。33歳の時、結婚相談所に登録した。お見合いパーティーや合コンにも参加した。

 だが、「苦難」の連続だった。自分がいいと思っていた男性が、婚活で顔見知りになった女性と結婚した。結婚を意識して交際を始めていた男性からデートのキャンセルが続き、文句を言おうと思ったら「最初から気がなかった」と言われた。

 「結果」が出ない。出産を考えると、「時間切れ」が迫っているように感じ、焦りばかりが大きくなった。再び保育士として働き始めた職場でのストレスも重なり、不眠症や発疹が治らなくなった。

 「もう二度と『婚活』はしない」。4年前、無理に結婚相手を探すのをやめた。「いつか幸せになりたい」ではなく、いま幸せでいることを心がけるようにした。バイオリンや俳句を始め、趣味の仲間が増えた。30代の苦しさがうそのように、「人生を心から楽しめるようになった」。

 もう出産は無理だと思っている。「やれるだけのことはやったので後悔はない」。一方で、子どもを連れた家族をみると、「私にはできなかった経験」と感じ、少し胸が痛い。(田中聡子)


■出産をめぐる政治家の発言

 ●「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えて」「皆が幸せになるためには子どもをたくさん産んで、国も栄えていく」(2018年6月、二階俊博・自民党幹事長)

 ●「結婚しなければ子どもが産まれない。人様の子どもの税金で老人ホームに行くことになる」「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたいとお願いする。いくら努力しても子どもに恵まれない方々がおり、そういう方々のために3人以上が必要だ」(18年5月、自民党の加藤寛治衆院議員)

 ●「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」(17年11月、自民党の山東昭子参院議員)

 ●「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ」「若い皆さんに大いに期待したい」(16年1月、松崎秀樹・千葉県浦安市長=肩書は当時)

朝日新聞社