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温泉ハッカソン「SPAJAM2018」 最優秀賞は車椅子ユーザーの課題を解決する「WheelFree!」

7/10(火) 19:02配信

ITmedia Mobile

 24時間でアプリを開発するハッカソン「スマートフォンアプリジャム 2018(SPAJAM2018)」の表彰式が、7月9日に開催された。最優秀賞には、車椅子ユーザーの電車乗降をサポートするアプリ「WheelFree!(ウィールフリー)」を開発したチーム「まどや」が選ばれた。

最優秀賞チーム

 「SPAJAM」は、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が次世代クリエーターの育成を目的に、毎年開催しているアプリ開発競技会。本選は7日~8日にかけて開催された。全国の予選会を勝ち抜いた12チームが温泉地・箱根の「COLONY箱根」に集結し、24時間でアプリを開発するハッカソンでしのぎを削った。

 7日に発表されたテーマは「モビリティ」。移動・交通などの意味を含む言葉だが、各チームはさまざまに発想を膨らませ、プレゼンテーションでは、個性的なアプリがそろった。

●車椅子の不便を減らす「WheelFree!」

 最優秀賞に選ばれたチーム「まどや」が開発したアプリ「WheelFree!」は、車椅子ユーザーが抱える乗車時の不便に着目し、その解消を目指したアプリだ。

 車椅子のユーザーが電車に乗るときは、駅員が乗降板を用意して、乗降を介助する。そのため、事前に乗車駅に電話して連絡する必要がある。この乗車予約は基本的には電話でしか受け付けられておらず、利用者にとって負担となっている。

 WheelFree!は、この電車乗降の電話予約を、アプリで項目を入力して行えるようにしたもの。利用時間、乗降駅、電動車椅子かどうかなど、伝える項目を入力すると、自動音声に変換し、利用駅へ発信。駅員に乗降内容を伝達できる。

 開発チーム「まどや」は、東京A予選を勝ち抜き、本選に参戦した。そのプレゼンテーションでは、アプリの着想を得たきっかけは、メンバーの同僚に車椅子ユーザーがいたことだったと紹介。彼を支援するためのアプリ開発を目指し、ニーズを聞きながら開発したという。駅員に聞き取りやすいよう自動音声に調整を加えたりするなど、実際に使えるレベルまで完成度を高めている。

 審査では、隠れた課題を見つけ出したアイデアに加え、短時間で行った実装の完成度の高さ、ユーザビリティへの配慮が高く評価され、最優秀賞を獲得した。

 最優秀賞のチームには、シリコンバレーの企業訪問ツアーをはじめとした多くの副賞が贈呈される。

●優秀賞:旅の思い出がすごろくになる「#RETRAVEL」

 優秀賞に選ばれたチームは、「温泉行きたいチーム@React Native」と「おなかすいた」の2組。

 「温泉行きたいチーム@React Native」は、旅行の思い出を振り返るアプリ「#RETRAVEL」を開発した。

 #RETRAVELは、Twitterのハッシュタグから、旅行中の思い出を抽出するアプリ。ユニークなのは、旅行中の位置情報を取得して、すごろく風のマップを作成すること。紙に印刷して、旅の仲間と思い出を振り返ることができる。使い方もシンプルで、ハッシュタグを入力し、「位置情報を取得」のボタンを押すだけで使えるという。

 審査では、旅の思い出をアナログな「すごろく」で追体験できるという発想のユニークさに加え、ユーザーインタフェースをシンプルにまとめた点が評価された。

●優秀賞:観光地でバーチャル自撮り体験

 優秀賞2組目のチーム「おなかすいた」は、バーチャル観光アプリ「JUNTRIP(ジャントリップ)」を開発。JUNTRIPは、観光地の風景と一緒に疑似的な自分撮りができるというアプリ。風景は全天球画像を利用しており、スマートフォンをかざした向きに連動して映る景色が変わる。ジャンプすると風景が変わり、世界中を旅する気分になれる。自撮り写真を撮影すると、その観光地の情報が表示され、宿泊サイトなどの情報にアクセスできる。

 自分撮りと風景を合成するための顔認識には、iOSで用意されている複数の画像処理技術を検証した上で、画像認識フレームワーク「Vision」を採用した。審査では、ジャンプというUIのユニークさに加え、実装した上で検証し、技術を選ぶという開発プロセスをきちんと踏んでいることが高評価につながった。

●審査員特別賞:調味料が“動いて”知らせる

 審査員特別賞の「卍(スワスティカ)」は、「どこなのさしすせそ」というアプリを開発。これは、表示される調味料を選ぶと、モーターが仕込まれた調味料入れが「動き出して」存在を主張するアプリだ。動かすための方法として、アプリ上で選択する他、スマートフォンに音声認識やジェスチャーといったインタフェースも用意されている。

 デモンストレーションでは、調味料入れが倒れてしまうほど激しく動き、会場を笑いの渦に巻き込んでいた。審査では、「モビリティ」というテーマを“震える”という着想に転換した点や、アプリのデザインや動きのかわいらしさが好評だった他、限られた時間とリソースで動く調味料入れを作成した実装力が評価された。

 惜しくも受賞を逃したアプリでは、災害発生時に支援物資の在庫情報を可視化するアプリや、道を知っている人に案内してもらう道案内アプリ、手紙を回して気持ちを伝えるアプリなど、「モビリティ」というテーマをさまざまな形で表現したアプリが発表された。

●総評:アイデア・実装力の両方が重要

 本選の総評は、業務により欠席となった審査員長の村上臣氏に代わり、フリーランス技術者の及川卓也氏が行った。

 「モビリティ」というテーマから、人の移動、モノの移動、仮想的な移動、さらには“思いが移動”するアプリまで、さまざまなアイデアのアプリが登場した今回のSPAJAM本選。及川氏はその発想の抱負さを称賛しながらも、「ズバ抜けたところがなく、惜しいチームが多かった」と語る。

 SPAJAMでは、テーマ性、アイデア、実装力、プレゼン力という4つの観点から評価される。及川氏は、「アイデアが良いと思ったチームは実装が追い付いておらず、完成しているけどこぢんまりとした仕上がり」と指摘。反対に、実装は進んでいたがアイデアを練り切れていなかったチームについては「もうひとひねりするだけで大化けするものがあった」と話し、実際の現場の視点から、アイデアと実装の両面を意識して開発に取り組む重要性を語った。

最終更新:7/10(火) 19:02
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