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福岡市科学館のプラネタリウムで音楽ライブ 新たなエンタメ空間、大人も魅了

7/10(火) 11:02配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

まるで“異次元”ショー 感動「半端ないって!」

 天を仰げばオリオン座や北斗七星も浮かぶ満天の星。そこにプロのミュージシャンの洗練された歌声や演奏が響き渡り、演奏者の姿も天空に浮き上がる―。6月末、福岡市科学館(中央区六本松)であった音楽イベント。まるで宇宙空間を漂いながら“異次元”のライブを満喫しているような気分になり、「半端ないって!」とうなるほど感動した。

⇒福岡市科学館の「星空空間×エンタメ」戦略

 舞台は、九州最大級のプラネタリウムを備えた「ドームシアター」だ。投影ドームは直径25メートル、天頂部の高さは最大15・5メートル。リクライニング式の220席が並ぶ中央に「8K」相当の超高精細映像を映し出す最新型投影機があり、壁面や床にサラウンドスピーカー。今回のライブは、「STARRY NIGHT JAM(スターリーナイト・ジャム)」と銘打ち、ここで定期的に催される夜間イベントの一幕だった。

 片隅のステージに立ったのは、福岡市早良区出身の歌手fumika(フミカ)さんと、福岡を拠点に活動するアコースティックトリオ「ミサンガ」の2組。

 ミサンガが、認知症の家族に贈る話題曲「はじめまして、ばぁちゃん。」を演奏すると、天空にはスケッチブックを手にした市民が次々に登場するプロモーションビデオが映り、「おばあちゃん大好き。長生きしてね」―と家族に手書きのメッセージを綴(つづ)る。fumikaさんは、パラパラ漫画が得意なお笑い芸人「鉄拳」の代表作「振り子」に合わせ、ヒット曲「Endless Road(エンドレス・ロード)」を熱唱。男女の半生を描くドラマで世の「無常」を嘆くパラパラ漫画を、繊細で潤いのある彼女の歌声が際立たせる。映像の反射光が照らす満員の客席は、温かい笑顔を浮かべたり、感動の涙を流したり―。私も思わず号泣してしまった。

プラネタ芸人、プラネタヒーローも来演

 ライブには特別な仕掛けがあった。拍手や手拍子に反応して発光する玩具が観客全員に配られ、光の軌跡を撮影する企画。健常者と障害者が音楽を一緒に楽しめる器具の研究などに取り組む金箱淳一さん(東京)が開発した「クラップライト・ドローイング」というパフォーマンスだ。演奏中、客席のあちこちで色とりどりの光がホタルのように灯り、その様子を金箱さんが自ら撮影。公演後、客席にも星空が広がるような幻想的な映像が映し出されると、全員うっとりして見入った。

 「もっとプラネタリウムに親近感を」。市科学館はイベント企画にこんな思いを込める。こだわるのはプラネタならではの企画。音楽ライブで演奏者が生まれた日の星座を投影したり、お笑いライブで星空の映像をコントの舞台に提供したりするなんて朝飯前だ。

 滋賀県・琵琶湖のホテルで働く傍ら、笑いを交えた星座解説で人気を集める「星のお兄さん」(6月から『星兄(ほしにい)』に改名し、長野県阿智村を拠点に活動)や、東経135度の子午線上にある兵庫県明石市の市立天文科学館をPRするキャラクター「軌道星隊シゴセンジャー」など、“プラネタ芸人”や“プラネタヒーロー”もしっかりキープ。星兄は、山崎まさよしさんや藤井フミヤさんら人気ミュージシャンとのコラボレーション企画があるほど売れっ子だが、福岡市科学館のナイトジャムでは既に2度来演し、すっかり常連パフォーマーになっているらしい。

 プラネタリウムと融合したエンターテインメント。会場に足を運び、初めて体験したが、なかなかいい。ポピュラーなオリオン座や北斗七星以外に星座を勉強したくなるのも面白いけど、新たなジャンルのエンタメ空間として大人も楽しめるスポットになりそうだ。

 ライブ終了後、fumikaさんいわく。「私も客席で楽しみたい」。同感だ。実は私、公演中ずっと立ち見。取材だからとあきらめてはいたが、口を開けて天を仰ぎっぱなしだと首が凝ってしまう。次回は取材を忘れ、リクライニング席で口を閉じて満喫しよう。

西日本新聞社