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豪雨被害実態と多くの犠牲に住民絶句 濁流にのまれた倉敷・真備町

7/10(火) 1:53配信

山陽新聞デジタル

 西日本豪雨で7日未明に小田川が決壊し、中心部が濁流にのまれた倉敷市真備町地区は9日、大部分で水が引き始め、被害の実態が徐々に明らかになってきた。住民らは古里の惨状に不安を募らせ、犠牲になった人の多さに声を失った。

 「見慣れた風景が見るも無残。復興にどれだけ時間がかかることか」。泥土に覆われ、破壊された町を見渡し、会社員男性(45)は肩を落とした。

 陥没した道路、横倒しになった車…。真備町地区の被災地ではポンプ車21台が出て、8日昼すぎから夜を徹して排水作業に当たった。9日早朝、3メートル以上の高さまで水が押し寄せた場所もあった町は、変わり果てた姿を見せた。

 「今後のことは想像もできない」と男性(72)。自宅は1階の畳がひっくり返り、足の踏み場もないほど家財が散乱し「泣くに泣けない」。女性(65)も自宅の天井が落ち、思い出の写真や大切な着物が泥まみれに。「まさか、こんな目に遭うとは」と涙を拭った。

 住民らは泥に埋もれた自宅の片付けに追われたが、高齢世帯も多く、女性(72)は「人手が足りない。ボランティアの手助けがあれば」と訴えた。町内の大部分で断水や停電も続き、農業男性(67)は「ライフラインが復旧しないと片付けもままならない」とこぼす。

 災害現場の混乱を狙った空き巣や不審者のうわさもあり、住民の間に不安が広がる。岡山県警は巡回を強化するとともに、真備、川辺の両交番駐車場に警察官らが常駐する臨時事務所を開設。地元の女性(45)は「貴重品だけでも運び出すつもり。これ以上私たちから奪わないで」と語気を強めた。

 自衛隊員らは9日、被災家屋を一軒一軒回り、この日だけで、逃げ遅れたとみられる20人以上の遺体が発見された。倉敷市真備町地区のパート男性(65)は犠牲者の多さに声を詰まらせながら「近所の90代のなじみの男性が行方不明と聞いている。なんとか無事でいてほしい」と祈っていた。