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極刑回避「納得できない」 リンさん父、現場で報告 松戸女児殺害千葉地裁判決

7/10(火) 11:09配信

千葉日報オンライン

 松戸市立六実第二小3年だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=が昨年3月に殺害された事件で、父親のレェ・アイン・ハオさん(36)が8日、リンさんが見つかった我孫子市の現場を訪れ、6日の判決を報告した。殺人などの罪に問われた同小の元保護者会長、渋谷恭正被告(47)に千葉地裁が言い渡した判決は無期懲役(求刑死刑)。「納得できない。公平ではない」。求めていた極刑が回避され、無念さだけが募る苦しい胸の内を吐露した。

 これまでも時間が許す限り、リンさんが発見された現場に足を運んできたハオさん。この日に供えたのはバラの花と好きだったモモやリンゴ。線香を上げると少し色があせたあどけない笑顔の遺影を固い表情でじっと見つめた。

 昨年3月24日朝、大好きな学校へ向かう娘に声を掛けた。「リンちゃんご飯食べた?」「食べたよ。行ってきます」。短いやり取りが最後の会話になるとは、思いもしなかった。2日後、対面した娘の手は冷たくなっていた。

 「娘を一生忘れてほしくない」と実名での報道を訴え、極刑を求めて署名活動も行った。家族で動物園や花見に出掛けた思い出が多く詰まった東京・上野では、リンさんと同じような女の子を連れた家族を見て胸が痛んだ。「同じ苦しみを味わう家族は出てきてほしくない」とつらさと闘いながら、署名を呼び掛け続けた。

 なぜ娘は殺されたのか。真相を求めて、初公判から判決まで欠かさず傍聴した。時には高ぶる感情を押し殺すかのように拳を強く握りしめ、リンさんが何をされたのか、耳をふさぎたくなる証言にも向き合った。母親のグエン・ティ・グエンさんも「当たり前の幸せが奪われた」と、日本での明るい未来が断たれた悲しみを訴えた。

 遺体発見から判決まで1年3カ月以上の月日が経った。判決後、ハオさんは現場で「本当に長すぎる」と振り返り、「結局死刑の判決を出せなかった…」と検察側の求刑より軽い判決に肩を落とした。

 ただ、リンさんを殺害したのは渋谷被告と認定された。「二度と同じようなことが起きないように、厳しい処罰を」。検察側に控訴を要望し、今後も再び極刑を求め続けるつもりだ。「できれば天国に行って。また私の子どもになって」。目をそっと閉じてリンさんに語り掛けた。

◆「被告が殺害」千葉地裁認定

 渋谷被告は昨年3月24日、登校中のリンさんをわいせつ目的で軽乗車に乗せて連れ去り、手錠で拘束してわいせつな行為をし、首を圧迫して窒息死させ、我孫子市内の排水路の橋下に全裸状態で遺体を遺棄した。殺人と強制わいせつ致死、わいせつ目的略取・誘拐、死体遺棄の罪に問われた渋谷被告に地裁は6日、「被告が犯人」と認定して無期懲役判決を言い渡し、弁護側が即日控訴した。