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「+メッセージ」3キャリア担当者に聞く、サービス開始の狙いと今後の展開

7/11(水) 12:10配信

Impress Watch

 NTTドコモ、au、ソフトバンクは、これまでのSMSを進化させて画像やスタンプも送れるようになったメッセージサービス、「+メッセージ」を5月9日から開始した。開始当初はAndroidのみの対応だったが、6月21日にはiOS向けにもサービスが開始されている。

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 RCS(Rich Communication Services)と呼ばれる規格に準拠する同サービスだが、導入の狙いなどについて、NTTドコモ スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス担当部長の藤間良樹氏、KDDI 商品企画本部 サービス企画部 部長の金山由美子氏、ソフトバンク IoT事業推進本部 事業開発統括部 AIデータコンサルティング部 部長の千葉芳紀氏の3名にお話を伺った。

■3社で足並みをそろえて取り組んだ理由――サービス開始に至った理由、背景を教えてください。

藤間氏
 今までのSMSは一度に送れる文字数が少ないなど使いにくいところが多く、まだまだ進化できるのではないかと思っていました。進化を考えるうえで、タイミングがよく、3社合同で取り組もうとなりました。

 メッセージサービスは、1つのキャリアが取り組んでもうまくいきにくく3社で合同で取り組むことが大切だと考えていました。

――サービスを開始しようとしたときは、3社間でどのように考えていましたか。

金山氏
 RCSをやろうと考えていたというよりは、キャリアの競争ではなく、ユーザーの利便性向上を重視しました。他の色々なメッセージサービスがあるなかで、キャリアが提供するコミュニケーションサービスがこのままでいいのかと思いまして、もっといいサービスを提供したいと考えました。

 ちょうどRCSが標準化される時期も重なって、サービス提供に至りました。

藤間氏
 過去の例としては、キャリアメールの絵文字も各キャリアごとに作っていました。また、SMSも開始当初は同一キャリア内でしか送れませんでしたし、文字数制限も違いました。このような過去の反省を活かし、今回は3社で足並みを揃えようということになりました。

――サービスを開始するにあたって、苦労したことなどもあったと思いますが。

千葉氏
 ソフトバンクは、当初は、今までのSMSアプリのバージョンアップ版として+メッセージを使っていただく予定でした。しかし、使い勝手が異なるアプリに切り替わったことや、その告知が十分でなかったことで、一部のお客様に混乱を招いたこともありましたので、提供の方針を変えさせていただきました。新たな提供方針のもとで、サービスを使っていただくことが今後の課題だと思っています。

――海外を見てもキャリアで足並み揃えてのサービス開始は珍しいですよね。

藤間氏
 それでもGSMAでの標準化に比べると遅かった方だと思います。

金山氏
 海外から見ると足並み揃えてのスタートは関心が強かったようです。

■SMSとRCS――SMSの置き換えではなく、RCSの追加という形でサービス提供されたのはなぜですか。

藤間氏
 海外ではまだRCSが普及しておらず、互換性を持たせるために共存させています。3Gから4Gへの移行の際もそうでしたが、既存サービスをすぐに廃止するのではなく、共存させながら順次広げていくというやり方を採っています。

金山氏
 ユーザーからすると、“RCS”を使いたいというよりは電話番号を知っている人とメッセージのやり取りをしたいという目的が強いと思います。+メッセージを利用している人は利用している人同士でコミュニケーションをとれますし、相手が利用していない場合はこれまで通りSMSでやり取りすることもできます。このようにシームレスな提供をイメージしています。

――標準規格のRCSと+メッセージの違いはありますか。

金山氏
 基本的にRCSの仕様に準拠しています。ただ、標準化されている機能には+メッセージに採用していない機能もありまして、例えば電話をしているときにメッセージを流す機能などは実装していません。

藤間氏
 +メッセージはRCSの仕様の中でもメッセージに関する仕様に特化しています。RCSには“方言”みたいな仕様がありまして、それを合わせることが重要でした。

■+メッセージのアプリについて

――Android版とiOS版にはUIや使い方の違いがあり、iOS版では+メッセージからSMSの送受信はできません。

藤間氏
 一番はOSやキャリアに関係なく同じインターフェースで使えることが理想と思っています。もちろんUIなどを統一したいですが、どこまでできるのかを考えたときにどうしてもプラットフォームの違いが出てきてしまい、なかなか実現できていません。

――使っていて興味深かったのですが、連絡先のリスト表示で相手が+メッセージを使っているかどうかを確認できるようになっています。この仕組みについて教えてください。

金山氏
 安心して使っていただくためにアドレス帳のデータをサーバーにアップロードするような機能は実装していません。まず、“自分の電話番号で+メッセージを使える”ということだけをサーバーに送信しています。電話番号のみ送信され、その電話番号が“誰のものか”という情報は送信していません。その上で自分のアドレス帳に登録されている人の番号が+メッセージを利用できる状態にあるかどうかをサーバーに確認しに行ってます。

――そのようなユーザーの特定の仕組みだと、ユーザーが増えてきたときにサーバーに負荷がかかりそうですが大丈夫でしょうか。

藤間氏
 利用状態の情報の更新は、時間で定期的に行っているものと、とある動作に紐づいて行うものがあり、なるべく負荷がかからないよう工夫しています。

――迷惑メッセージへの対策は考えていますか。

金山氏
 SMSでも迷惑メッセージはありますが、なにを基準として迷惑メッセージと判定するかがとても難しいです。通信の秘密という観点もありますので、ユーザーの申告に基づいて判断することになります。アプリ内にも迷惑メッセージを報告する仕組みは導入しています。

藤間氏
 実際のところ、迷惑SMSのほとんどは海外のキャリアからくることが多く、今のところは+メッセージは海外とつなげていないので、そのようなことは起こりにくい状態にあります。しかし、今後海外と接続する場合は対策を考える必要があります。

 +メッセージは、SMSよりもブロックがしやすく、迷惑メッセージの報告もしやすいので、迷惑メッセージは受信しにくいのではないかと思います。

――今後ユーザー数を増やすためには、なにが課題と考えていますか。

千葉氏
 まずは知ってもらうことが大切だと考えています。今後発売される機種にはプリインストールされるので、より使っていただける方が増えると想定しています。

藤間氏
 ソフトバンクさんもAndroid向けのアプリの提供を再開しまして、iOS版も6月21日に配信が開始されました。これで全ての機種で出揃いましたので、皆さんに知ってもらえるようにしたいです。

――Androidベースのフィーチャーフォンへの搭載は考えていますか。各社、LINEのアプリはプリインストールされています。

金山氏
 ユーザーからは「なんで使えないの?」という声も実際にいただいていまして、今後考えていきたいところです。

■+メッセージの今後は――3社足並みを揃えて開始しましたが、協力する部分だけでなく、これから競争していく部分などはありますか。

藤間氏
 競争の部分は今後考えていきたいと思っています。なお、コミュニケーションにおいては、競争というよりも、会社問わず相互に利用できることは重要視したいと考えています。

――各社で、スタンプを販売するのはどうでしょう。

藤間氏
 他のメッセージサービスの真似をするのか、しないのかという話になってきますね。

金山氏
 サービスの開始当初としてはどのキャリアでも同じようなサービスであることが重要です。現時点ではその点を重視しました。

――他サービスとの比較になってしまいますが、パソコン向けのサービスは考えていますか。

千葉氏
 技術的には可能です。しかし、安全性とのバランスを考えると難しい点があります。

藤間氏
 ただメッセージを送れればいいと考えてはいません。“電話番号”で送ることに意味がある考えています。安全性を考えると、もしかしたらパソコン向けサービスには踏み込まないほうがいいかもしれません。ユーザーのニーズや、今後、電話番号がどのように扱われるかによって変わってくると思います。

――電話番号でやり取りできる点を活かして、緊急通報など、関係省庁と連携をとる予定はありますか。

藤間氏
 今のところありません。+メッセージが社会インフラとしてなりえるのでしたら、可能性はあります。緊急通報は求められるハードルが高いですが、ユニバーサルサービスとしての活用になりえるのでしたら挑戦したいです。ただ、日本人の習慣として緊急通報といえば電話です。電話以外のやりとりの文化を作るのも大変かもしれません。

――海外の展示会ではRCSでピザを注文するといったデモなども目にしました。そのようなサービスは考えていますか。

金山氏
 企業とユーザーの間で、やり取りができるようなサービスは考えていきたいです。

――企業との連携を考えるうえで、各社がどのような役割を担うのでしょうか。サービスを始めたいと思ったときに、誰に相談すればいいのでしょう?

藤間氏
 まだ、そのような役割は決まっていませんが、ある程度はキャリアが間に入る必要があると考えています。少なくとも企業に対してのインターフェースは3社で合わせようとは思います。

――人 対 人のコミュニケーションに使われてますが、+メッセージから家電の操作など人 対 機械のコミュニケーションの予定はありますか。

金山氏
 実現していきたいと考えてます。

藤間氏
 機械がつながるのは企業との連携の延長線上で、できることは多くなりますがリスクも増えます。でも夢は広がります。

千葉氏
 IoTと聞くと、センサーなどに目が行きがちですが、操作をするためのインターフェースが重要です。そこに+メッセージが入り込むのは十分に考えられます。

――海外とのRCSの接続はいつ頃を予定していますか。

藤間氏
 いずれは取り組みますが、まずは国内でのサービス普及が課題です。

――たとえば2020年の東京オリンピックにあわせて、訪日客向け付加サービスを用意する予定はありますか。

藤間氏
 日本のサービスをアピールするいい機会です。使ってもらうサービスが用意できればと思います。

千葉氏
 NFCとは違い、+メッセージはデバイスに依存しません。ソフトとサーバーでできるのでやりやすいとは思います。

■担当者のおすすめ機能を紹介――最後に読者におすすめの使い方や機能があれば教えてください。

千葉氏
 当たり前の使い方になりますが、仕事で電話番号を交換している人と、メールで送るほどでもないメッセージのやり取りや画像などが送りやすくなりました。

金山氏
 家族のグループにプライベートのAndroidと、会社用のiPhoneの両方を登録が可能で、OSを超えてどちらの端末からでも利用できるのが便利です。

藤間氏
 仕事の場面になりますが、とりあえずグループをつくってメッセージを複数人に送ることができます。グループに招待された人が“承認する”といった作業がなくメッセージが見ることができまして、メッセージを複数人に簡単に見てもらうことができます。

――本日はありがとうございました。

ケータイ Watch,石井 孝幸

最終更新:7/11(水) 12:10
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