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Appleが大手キャリアに“不公正な取引”を強制した疑い 公取委が公表

7/11(水) 18:59配信

ITmedia Mobile

 公正取引委員会(公取委)は7月11日、「携帯電話事業者との契約に係るアップル・インクに対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」という文章を公表した。米Appleの日本法人であるApple JapanがiPhoneを取り扱う大手キャリア3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)と締結した「iPhone Agreement(iPhoneの取り扱いに関する契約)」の内容に独占禁止法(独禁法)に違反する疑いのある内容が含まれていたものの、それが是正されたため違反審査を終了したという。

アップルとキャリアの取引内容

何が独禁法に抵触?

 公取委によると、Apple Japanは大手キャリア3社と個別にiPhone Agreementを締結しているという。

 この契約に、3社の事業活動を制限しうる「拘束条件付取引」に該当する疑いのある内容が含まれていたことから、公取委では2016年10月から独占禁止法の規定に基づく審査を行っていた。

「拘束条件付取引」とは?

・拘束条件付取引:「販売地域」「販売方法」など、一定の拘束条件を課して行う取引。

 拘束条件が取引先(今回の場合は大手キャリア3社)に対して不当な圧力をかけるものである場合、独禁法が禁止している「不公正な取引」に当たる恐れがある。

 問題となった項目は以下の4つ。

1.iPhoneの注文数量に関わる規定

 一部の年に、Apple Japanに注文するiPhoneの数量が具体的に定められていたという。これは他メーカーのスマートフォンを販売する機会の減少につながることから、不公正な取引に該当する可能性がある。

 ただし、「一部の年」以外については具体的な目標数量が定められていないこと、目標未達の場合でも契約違反とはせず、未達に対する不利益も課されなかったことから、公取委はこの規定が3社の事業活動を拘束することはなかったと結論付けた。

 Apple Japanは数量目標未達の場合の規定のないキャリアについて、新たな契約の際は、未達の場合でも契約違反としない定めを盛り込むと公取委に報告したという。

2.iPhoneプランに関わる規定

 iPhone Agreementでは、iPhone専用の料金プランの定義があったという。「iPhoneプラン」が各キャリア同内容で、かつiPhoneユーザーがそれしか選択できないとなると、キャリア間競争を阻害するという観点で問題が生じる。

 ただし、iPhoneプランについて、ある1社は遅くとも2014年9月以降、残り2社は遅くとも2015年9月以降提供していないことと、「残り2社」については当初からiPhoneプラン以外も選択できたことから、公取委はこの規定も3社の事業活動を拘束することはなかったと結論付けた。

 なおApple Japanは公取委の審査開始後、「ある1社」に対するiPhoneプランの規定を廃止。また「残り2社」についても当該規定を廃止することを表明したという。

3.下取りiPhoneに関わる規定

 あるキャリアにおけるiPhone Agreementでは、キャリアが下取りしたiPhoneの用途が規定されていた。具体的には、下取りしたiPhoneが、端末補償サービスにのみ用いられる旨が定められていたという。

 このことがApple Japanの市場優位性を維持・強化し、iPhoneの販売価格の維持にもつながると、独占禁止法上問題となりうる。また、中古端末を販売するMVNOにとって、MNOとの競争阻害につながるという指摘もなされている。

 ただ、Apple Japanは1社に対し国内での用途を定めるにとどまっていたことから、下取りしたiPhoneの国内での流通を制限していたとは認められなかったとしている。

4.補助金に関わる規定

 iPhone Agreementでは、iPhoneの購入者に対して、MNOや販売店が「補助金」を提供する旨が定められていた。補助金とは、ドコモが「月々サポート」、KDDIが「毎月割」、ソフトバンクが「月月割」として提供しているもの。補助金の額は、iPhoneの卸売価格と利用者の負担額の差額とされており、MNOごとに最低額が合意されていたという。

 補助金自体はiPhoneに限ったものではないが、iPhoneのみ提供を義務付けていることを公取委は問題視。「多様な料金プランの円滑な提供を通じた競争を減殺する」と指摘する。実際、KDDIが「auピタットプラン」「auフラットプラン」を提供した当初、Apple Japanの同意を得られなかったため、iPhoneを対象にできなかった。

 そこで、Apple Japanは、(auピタットプランなど)端末購入補助を伴わないプランもiPhoneに提供するよう改定。ユーザーが最適なプランを選べるようになったことから、独占禁止法違反の疑いを解消するとした。

結果的にAppleはおとがめ無し

 公正取引委員会は,iPhone AgreementにおけるiPhoneの注文数量、iPhoneプラン、下取りiPhoneに関わる規定は、MNOの事業活動を拘束するものではないと判断。補助金に関わる規定は、Apple Japanの改定が独占禁止法違反の疑いを解消すると判断し、審査を終了した。

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最終更新:7/11(水) 18:59
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