ここから本文です

あなたは沖縄を知っていますか。社会学者の問いかけること

7/11(水) 6:10配信

BuzzFeed Japan

あなたは沖縄を知っていますか、と聞かれたら、なんて答えるだろうか。何を語るだろうか。長年、沖縄と向き合ってきた社会学者・岸政彦さんに、内地との間にある「境界線と壁」について聞いた。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

【写真】戦前の沖縄にもセーラー服の少女がいた。終戦10年前をとらえた貴重な写真

「社会学や現代思想では、境界線を飛び越えたり、撹乱することが、ここ何十年も流行ってます。でも、あえて内地と沖縄の境界線を引き直したいと思っているんです」

BuzzFeed Newsの取材にこう語るのは、この5月、著書『はじめての沖縄』(新曜社)を出した社会学者の岸政彦さん(立命館大大学院教授)だ。

20年以上にわたり、沖縄をフィールドに研究を続けてきた。

「研究をしていると、必ず沖縄との関係が問われる。直接言われるわけではなくとも、お前は誰なんだ、何しにきたんだと」

「沖縄と内地の間には壁がある。境界線もある。だからこそ、内地の人間が研究する意味は何か、とひとつずつ掘り下げて考えるようになりました」

沖縄には「沖縄以外の都道府県のひと」を意味する「ナイチャー」と、沖縄のひとを意味する「ウチナンチュ」という言葉がある。こういう言い方は、他の地域にはほとんどない。

岸さんは、「はじめての沖縄」でその点についてこう説明している。

《ウチナンチュとナイチャーという区別は、理由があり、根拠があり、必然性がある。なぜかというと、それは、沖縄の人々が内地を区別しているのではなく、沖縄という地域が、日本という国の中で、区別されているからである。あるいは、「差別」と言ってもよい》

「好き」という差別とは

岸さんは社会学者を目指していた24~25歳のころ、観光で沖縄を訪れた。

「大学院を落ちて居場所がなくて、日雇い労働などをしながら、たまたま観光で出会った沖縄にハマっていったんですよ」

そこから一気にのめり込み、結果として沖縄をフィールドとする学者になった。当時の自分自身のことを、その熱の入れ方から「沖縄病」だったと振り返る。

「沖縄に対する差別というと、構造的差別がある、基地があること自体が差別なんだ、という言い方を僕らはしている」

「それはそうなんだけれども、さらにもうひとつ、独特の非対称的な関係性があるということを、沖縄の研究をしている初期から考えていました。好きという差別、愛するという差別があるんだろうなと」

「好きという差別」とは何か。

たとえば内地の人間が、沖縄の「人と人の共同体的な優しさやつながり」が好きだと言ったとしよう。

「それは別に沖縄じゃなくても、産業化が遅れているところで必ずある。世界中の、相対的に貧しい地域にあるんです。つまり対象を好きだという理由が、貧しさに関連しているのかもしれない」

沖縄のことを「好き」であるという以上、非対称性が生まれる。しかもそれは、沖縄が歴史的に抱えてきたものの延長に生まれた「欲望」でしかないかもしれない。

「たとえば、自然が綺麗だったら。それも開発されていない、というだけなのかもしれない。あるいは、とてもきれいなビーチがあったとして、それは公共事業でつくられた人工ビーチだったりすることもある。つまり、公共事業だけでしか飯を食えない人がいる、ということの結果かもしれない」

「独自の文化がある。かっこいいアメリカ風の文化もある。これは、日米両国に翻弄されたような、踏みにじられたような違う歴史を歩んできたからかもしれない。もともと別の国だったということもあるかもしれない」

1/3ページ

最終更新:7/11(水) 6:10
BuzzFeed Japan

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ