ここから本文です

「最適解は、完全禁煙しかない」vs「たばこを吸う側の自由や満足を」 科学的な議論が受動喫煙政策に活かされない日本

7/11(水) 15:02配信

BuzzFeed Japan

受動喫煙対策が骨抜きにされた政府の健康増進法改正案が7月10日、参議院厚生労働委員会で審議され、医師、患者、行政、飲食店と様々な立場から招かれた参考人が意見を戦わせた。

中でも、目立ったのは「健康や命」を最優先させるよう訴える医師側と、「喫煙者や営業者の自由」への配慮を求める飲食店側の対立だ。

日本対がん協会参事で医師の望月友美子さんは、飲食店の面積によって規制を決める政府案について、「失敗が分かっているので、(見直しを)5年も待つ必要はない」と斬り捨て、日本で受動喫煙対策が遅れた原因を「たばこ産業のネガティブキャンペーンがなされたからだ」と厳しく批判した。

一方、受動喫煙対策についてたばこ業界と共に、反対キャンペーンを続けてきた飲食業やサービス業の団体「全国生活衛生組合中央会」の副理事長、田中秀樹さんは、「たばこを吸う方々の自由や満足、営業者の自由にも配慮する『日本型の分煙対策』を」と、法案が定める規制のさらなる緩和を訴えた。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】

国際的にみて「受動喫煙対策」劣等生の日本

望月さんは、まず受動喫煙対策が一刻の猶予もないとする理由として、日本ではたばこで3.5分に一人が、受動喫煙に限っても35分に一人が死亡していることを示した。

その上で、WHO(世界保健機関)のたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准し、受動喫煙防止が2010年まで義務付けられていたにも関わらず、締め切りをとっくに過ぎていることを報告。


条約に基づく政策達成度を測る「政策通信簿」についても、「受動喫煙防止やメディアキャンペーン、広告禁止は最低ランクで、すなわち不可の状況です」と批判し、今回の健康増進法改正でも履行は不十分だと指摘した。

その上で、このように痛烈に批判した。

「100平方メートルにしても、30平方メートルにしても、面積による規制の有無はスペインで一度実施され、のちに失敗と評価された『旧スペインモデル』の踏襲です。なぜ外国で失敗とわかったことを日本で実施するのでしょうか?」

「その弊害については、ドイツがんセンターのシュナイダーらの論文で列挙された通りですが、特に例外規定による空洞化、不当競争、遵法意識の低下、地域格差、従業員の健康、社会的対立などの問題が生じ得ます」

失敗した旧スペインモデルと同様の面積基準を、国に先行して設けた神奈川や兵庫の条例では罰則規定があり、違反者がいるにも関わらず、1件も摘発されていない「ザル条例」になっている。

望月さんは「国の法律でも同じことが起こり得ます」と指摘する。

「失敗がわかっているので、(見直しを)5年も待つ必要はありません」

1/4ページ

最終更新:7/11(水) 15:02
BuzzFeed Japan