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EUがインターネットをめちゃめちゃにする

7/11(水) 12:40配信

ギズモード・ジャパン

誠に残念ながら…。

米Gizmodoがインターネットの非常事態をお知らせします。

【記事の全画像】EUがインターネットをめちゃめちゃにする

2018年6月20日、欧州議会法務委員会はウェブをひっくり返すような決定をしました。そして、インターネットミーム・ニュース・Wikipedia・アート・プライバシー・二次創作…これらすべてが破壊の危険に晒されています。

寝て起きたら、欧州議会法務委員会はEU著作権指令(EU Copyright Directive)への投票を済ませてしまっていました。その中でもEU著作権指令11条と13条は一級のテック専門家たちから「多大な被害をもたらすもの」と見なされています。このふたつの条項では以下のような前代未聞の要求がされているのです。

・一般的なウェブサイトを運営する人すべてに対して
・サイト上の「著作権で保護されている情報」を監視する
・報道機関の記事にリンクするときは料金を支払う

法案を擁護する人たちは、批判的な人たちは法案が施行された後のことを推測し、誇張していると言っています。一方で、批判する側はリスクが利益を越えていると述べています。

いずれやってくる新しい規制によって、何が危機に瀕するのかを見ていきましょう。

13条はウェブサイトに監視を強いる

このセクションによって、著作権を守るにあたってのウェブサイトの責任が完全に再構築されるでしょう。今のところ、オンラインプラットフォーム(訳注:メディア・動画プラットフォームなどを総称した表現)は、著作権違反のペナルティから、いわゆるEC指令によって保護されています。ユーザーがデータをアップロードするときは、単なる媒介者として振る舞えます。

米国の法律でYouTubeが報告を受けた違反コンテンツを削除する努力をしているかぎり罰を免除されているのと近いですね。YouTubeは自動でコンテンツを認識するシステムと人力を組み合わせて、ユーザーがアップしたコンテンツをチェックしています。13条を批判する人たちは、ユーザーにテキストや音声、コード、動画や静止画のアップロードを認めているプラットフォームの上位20%には、そうした仕組みが必要だろうと語っています。

6月13日、テック分野でもっとも影響力のある70名が13条に反対する文書に署名しました。インターネットの父・ヴィントン・サーフやWorld Wide Webの発明者・ティム・バーナーズ=リーのようなパイオニアたちがオンライン世界のほぼあらゆる方面の専門家とともに、この法案が言論・教育・表現・スモールビジネスの自由を侵すものだ、すでに自身のサービスを厳重に監視しているGoogleやFacebookといった主要プラットフォームにのみアドバンテージを与えるものだ、と述べました。

13条の潜在的な意味について大々的に記しており、Electronic Freedom Foundationの特別アドバイザーであるCory Doctorowは、米Gizmodoの電話インタビューに応じ、コンテンツを監視できないプラットフォームに法案によって課される罰金は数億ドルに及ぶと述べ、生き延びられるのはGoogleやFacebookのような大企業だけと確信していました。

13条にまつわる大きな疑問は「著作権で保護されている情報がサイト上にあることを防ぐための“適切な対策”」という曖昧な要件にあります。法案は“効果的なコンテンツ認識技術”が使われるべきだと提案していますが、それが何を意味し、どう機能し、どうクレームを提出するのか、どんな実践的なことも説明されていないのです(※)。

※訳注:EU著作権指令は、「法案ではアウトラインのみを示し、具体的な内容はEU加盟諸国に任せる」という、「指令」という種類の法律。

批判的な人からすると、「巨大コンテンツプラットフォームはすでにあるシステムを利用し、残りのプラットフォームにはある種の中央集権的なシステムが要求される」というのは自然な結論です。しかし、そうしたシステムがどう機能すべきかは示されていないため、コンテンツに対して所有権を偽証する人々にはペナルティはありません。

もし、誰かがシェイクスピア全集(パブリックドメイン──著作権が切れています)の権利を主張してアップロードした場合、プラットフォームはその主張がリスクをとるに値し、かの吟遊詩人のソネットをほかの人が引用することを許可するに値するかを個別に判断しなければなりません。もしプラットフォームがリスクをとりたくないなら、その誰かは著作権に関する主張を法廷で争わねばならないでしょう。

なお、お金持ち企業のアルゴリズムはひどいもんです。YouTubeでは先々週、MITなどの教育動画が海賊版フィルタによって誤ってブロックされました。過去には、ホワイトノイズや鳥のさえずりを著作権違反だとする馬鹿げた主張もありました。

加えて、13条のもっとも重要な問題点としてフェアユース(※)を認めないことが挙げられます。フェアユースはインターネットの基盤であり、著作権作品のリミックスを許可する法律において極めて重要な抗弁事由です。

※訳注:著作権者の許諾なく著作物を利用しても、分量や用途といった基準に照らして公正な利用に該当する場合は、著作権侵害に当たらないとする。米国の著作権法において、著作権侵害に対する抗弁事由として認められている。

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