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「希望捨てない」不明者公表、情報募る…岡山県

7/11(水) 23:52配信

読売新聞

 西日本豪雨で大規模な浸水被害が発生した岡山県は11日、県内の行方不明者について、ホームページなどで氏名や住所などを公表した。公表により生存や所在が確認される人も相次いだが、地区全体の4分の1が浸水した倉敷市真備(まび)町では、依然として13人の行方がわからない。

 「希望を捨てずに待ち続けたい」。総社市の女性(61)は11日、避難所になっている真備町の薗小学校体育館に設置されたボードに、父親の名前と自分の電話番号を書いた紙を貼った。7日以降、父親と電話がつながらないといい、「避難中に電話を落としたか、病院に運ばれて電話に出られないのかもしれない。生きていてほしい」と願った。

 真備町では、自衛隊や警察、消防が、浸水した約4600戸を中心に、地区ごとに分担を決めて1軒ずつ内部の確認を進め、これまでに49人の遺体が見つかった。11日からは家屋のほか、決壊した小田川の堤防付近や水田、雑木林などにも捜索範囲を広げている。

 県は行方不明者について、豪雨の被害が明らかになった7日以降、新見市と鏡野町の男性2人のみ名前を公表。その間、安否に関する問い合わせが市などに相次いだが、「情報が精査されていない」として行方不明者の公表は控えていた。

 県災害対策本部は11日午後、「市や警察などが保有する情報の整理が進んだ」として、県内の行方不明者として一時、計43人の氏名などを公表。その後、警察や市などに情報提供が相次ぎ、11日夜時点で計18人(真備町13人)となった。避難所にいた被災者から「自分の名前が行方不明者として報道されている」との申告もあったという。

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 38人(11日夕時点)の行方不明者がいる広島県では、湯崎英彦知事が11日、行方不明者の公表について、記者団に「そこまでの状況という認識はない」と語った。2人が行方不明になっている愛媛県では、「プライバシーなどの観点から発表予定はない」とするが、捜索活動が長引き、家族から要望があれば公表する可能性があるという。

 今回の豪雨では、京都、奈良、高知の各府県でも行方不明者が1人ずつ確認されているが、氏名は発表されていない。

 個人情報保護法では、人命保護に必要な場合、第三者に個人情報の提供ができると規定している。災害で多くの行方不明者情報が寄せられ、災害に巻き込まれたのか、避難して連絡が取れないのか実態把握が難しい場合、自治体の判断で氏名や住所を公開するケースはこれまでにもあった。

 2013年10月、死者・行方不明者39人を出した伊豆大島の土石流災害では、東京都大島町が30人以上の不明者氏名を公表し、生存者から連絡が入るなどして安否確認が進んだ。16年4月の熊本地震でも、熊本県南阿蘇村が、建物の倒壊現場付近の聞き取りを基に、連絡がつかない住民らの氏名や年代を公表した。

 一方、15年9月の関東・東北豪雨では、茨城県常総市が不明者の人数(最大25人)だけを公表。警察などが浸水地域で捜索活動を行ったが、不明者の多くが、実際は避難所などにいたことが後に判明した。

最終更新:7/14(土) 12:43
読売新聞