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山梨にしかない「垈」読める? 意味は? 奥が深い方言漢字、高知や東京、海外にも

7/19(木) 7:00配信

withnews

 突然ですが、山梨県にまつわる話をお届けする「山梨フカボリ特集」を始めました。今回は「山梨にしかない漢字」についてです。少し前、ネットで話題になりました。そうです、「垈」です。読めますか? 本当に山梨独自の漢字なのか、調べてみました。(朝日新聞記者・黒石直樹)

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気になる読み方は……

 「垈」は「ぬた」と読みます。

 山梨県内で「垈」を使う地名は大垈(甲斐市、身延町)、垈(市川三郷町)、砂垈(富士川町)、藤垈(笛吹市)、相垈(韮崎市)などがあります。

 朝日新聞の過去の記事を検索できるデータベースで「垈」を探すと、175件がヒットしました。でも、国内の記事は全て山梨県に関するものです。

 「垈」はやはり山梨独自の漢字なのでしょうか――。さっそく「垈」の地名を持つ自治体の担当者に電話をかけて質問をぶつけてみました。

 「珍しいが、普通に使われている漢字だと思う」
 「他の都道府県についてはわからない」

 ……すぐ答えにたどり着くのは難しそうです。「垈」の意味から探ってみることにしました。

「湿地帯や沼地の田んぼ」を意味します

 「大垈」がある甲斐市の生涯学習文化課の担当者に聞くと、「『垈』は湿地帯や沼地の田んぼを表す『ぬたば』を意味する漢字ですよ」と教えてくれました。

 「旧双葉町周辺は元々水の少ない地域だが、水がわき出る場所があり、その一帯が湿っていたことから、そう呼ばれるようになったそうです」。「ぬたば」と呼ばれる湿地帯には、多くのイノシシが泥を体に浴びるために集まったそうです。

 旧増穂町誌(1977年発行)にも、「砂垈」について「盆地底の水田は沼田であったらしい地形で、地名の『垈』はこの沼田を意味するものと思われる」と書いてあります。「沼田」は「ぬた」と読みます。どうやら「ぬたば」がキーワードのようです。

 「ぬたば」の表記は、広辞苑が「ぬた場」、ウィキペディアには「沼田場」とあります。手元の漢和辞典をめくっても「垈」の項目は見つかりません。この漢字はどこから来たのでしょうか?

 手がかりを得ようと甲府市の県立図書館で見た「角川日本地名大辞典 山梨県」(84年発行)で気になる記述を見つけました。「垈」が地名字の特色あるものとして紹介され、「ヌタの音を『代(たい)』で表して、『土』の字と合字して湿潤な土地であることを表したもの」とあります。音と意味を組み合わせてできた漢字?

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最終更新:7/19(木) 11:45
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