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第30回高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者の素顔(4-2)

7/12(木) 7:55配信

産経新聞

 ■作曲家の世界観を最大限に

【音楽部門】リッカルド・ムーティ

 Riccardo Muti

 1941年7月28日

 イタリア・ナポリ生まれ

 世界の音楽界をリードする指揮者の一人。レパートリーは古典から現代音楽まで多岐にわたり、中でもイタリアの歌劇王、ヴェルディ作品への理解力には定評がある。作曲家が表現する世界観を最大限に引き出すのが特徴だ。「作品には敬意を払っているので手を加えることなどできない。傑作に口出しをするなんて許されることではありません」

 イタリアの港町、ナポリで生まれ、アドリア海に面したモルフェッタで幼少期を過ごした。自身を「温和な環境で生まれ育った地中海の人間」と称する。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲と指揮を学び、1967年に「グィード・カンテッリ国際指揮者コンクール」(イタリア)で優勝。英・フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者や米・フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を歴任して、イタリアの歌劇場「ミラノ・スカラ座」でも86年から2005年まで音楽監督を務めた。

 一方、対立や悲劇の痕跡が残る場所でコンサートを開催する「友情の道プロジェクト」を1997年に創設。その活動に尽力しながら、2010年からシカゴ交響楽団の音楽監督としても活躍。同楽団とともに米音楽界最高峰のグラミー賞に輝いた。世界最高峰のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤーコンサート」には今年で5回目の登場を果たした。

 日本でも、イタリアとの文化交流促進に対する貢献が高く評価され、16年に旭日重光章を受章。来年春からは日本で若い音楽家のための「イタリア・オペラ・アカデミー」を始める。「自分の課題に真剣に取り組めば、より良い結果を生むと若者たちに伝えたい」。努力を惜しまない姿勢を次世代に継承しようとしている。

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 ■銀幕の第一線 難役挑み続け

【演劇・映像部門】カトリーヌ・ドヌーヴ

 Catherine Deneuve

 1943年10月22日

 フランス・パリ生まれ

 フランス映画界を代表する女優。デビューから半世紀余り、第一線を走ってきた。出演作は100本を超える。両親とも俳優という芸能一家に生まれ、中学生の頃から映画に出演してきた。1964年、ジャック・ドゥミ監督のミュージカル映画「シェルブールの雨傘」で恋人を慕う港町の可憐(かれん)なヒロインを演じ、一躍世界的スターとなった。

 輝くようなブロンド、まっすぐな瞳。フランスでは「エレガンスを体現する女性」として常に真っ先に名前があがる。一方で、単なる美人女優に終わらなかったのは、常に一癖も二癖もある役柄に挑戦してきたからだ。

 シュールレアリスム派の巨匠、ルイス・ブニュエル監督の「昼顔」(67年)では、マゾヒスティックな妄想におぼれる人妻を熱演。英国人歌手、デビッド・ボウイと共演した「ハンガー」(83年)で女吸血鬼に扮(ふん)した。「8人の女たち」(2002年)でファニー・アルダンとキスシーンを演じ、「大女優のレズビアン共演」が話題になった。

 ナチス占領下のパリが舞台の「終電車」(1980年)、仏領インドシナの独立運動を描いた「インドシナ」(92年)の2作品で、仏セザール賞の最優秀主演女優賞を獲得。演技派女優としての地位を確立した。

 米欧各国の映画に出演してきたが、フランス映画への思い入れはひときわ強い。「映画は、その国の社会や暮らしと結びついています。フランス映画で登場人物はよくしゃべる。言葉がとても大切なのです」と語る。

 出演作は脚本の面白さで決めている。「どんな役柄を選ぶのも、好奇心から」という。是枝裕和監督の次回作出演の計画も浮上しており、日本人ファンの注目を集めそうだ。

最終更新:7/12(木) 7:55
産経新聞