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「NAND祭りの閉祭宣言」で半導体市況の先行きに不安感?

7/12(木) 21:35配信

投信1

 クレディ・スイス証券は先ごろ、「NAND祭りの閉祭宣言」というリポートを発表し、これが物議を醸している。NAND型フラッシュメモリーは、直近のスマートフォン需要が減り、生産歩留まりも上がったことで需給が緩み、半導体はどこかの時点でマイナス成長に入っていくという指摘である。いわゆる半導体の好況が長く続くスーパーサイクルは消滅したと見ているのだ。

 半導体産業には、3~5年ごとに好不況を繰り返す独特の市況サイクルがずっと存在していた。これを俗にシリコンサイクルと呼び、かつては4年ごとに開催されるオリンピックイヤーにテレビなどの家電が盛り上がることから、オリンピックサイクルとも呼ばれていた。

 野村證券の名物アナリストとして知られる和田木哲哉氏が提唱した「スーパーサイクルを迎えた半導体業界」というオピニオンにより、これまでのシリコンサイクルとは異なり、好況が長く続くという予想が市場を席巻していた。これに対して、クレディ・スイス証券は半導体祭りはもう終わったのだと茶々を入れたことになる。スマホの低迷だけでなく、ZTEに代表される米中間の貿易摩擦により半導体の輸出ペースが鈍り、中国の半導体設備投資もダウン傾向に入る可能性を指摘しているのだ。

IoT社会の需要は膨大、NANDだけが半導体にあらず

 さて筆者は、この半導体祭りの終祭宣言に対しては、かなり近視眼的な条件出しによる予想であると思っている。半導体の活況はスマホやデータセンター向けのNANDフラッシュメモリーだけで語られるものではないからだ。

 半導体大活況の裏には第4次産業革命といわれるIoT社会の構築があり、それはビル、建物、物流、生産工場、道路、病院そして次世代自動車、さらにはAI、ロボティクスにまで広がる分野に一大技術革命が起きていくことを意味する。つまり半導体を支えてきたビッグアプリはスマホ、パソコン、タブレット、液晶テレビがそのほとんどという時代とは一線を画している。これからの社会は通信用LSI、CMOSイメージセンサー、様々なメモリー、ハイエンドロジック、そしてパワー半導体を膨大に必要とする社会であり、NANDフラッシュメモリーという一つのデバイスで左右されるものではないのだ。

「幸せの名の下に世界は監視社会に突入した。中国では2000万カ所に監視カメラが設けられ、人の顔全体を分析しビッグデータにつなげるという恐るべき社会コントロールが行われようとしている。このことの是非はともかく、世界はどうあっても戦争回避、安全・安心の追求に向かうわけだから、監視社会の始まりは巨大な半導体市場の始まりを意味する。よって半導体のスーパーサイクルは全く変わることはない」

 これは前述の、半導体のスーパーサイクル論を提唱した和田木氏の最近の談話である。つまり野村證券としては、クレディ・スイス証券に対し真っ向反対のオピニオンを表明したと見てよいだろう。

 筆者もまた和田木氏に同調するものであり、寄せ集めのエンジニアで半導体が立ち上げられる現状はかなり危ないとは思っているが、これまでとは全く違うIoT社会の構築が急速に進んでいる限り、半導体がヘタることはないとも思っている。

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最終更新:7/12(木) 21:35
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