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大森靖子「クソみたいな気持ちに本質がある」露呈したエグい感情:インタビュー

7/12(木) 16:01配信

MusicVoice

 シンガーソングライターの大森靖子が7月11日、メジャーデビュー後4枚目となるフルアルバム『クソカワPARTY』をリリース。オリジナルアルバムとしての前作『kitixxxgaia』は外側に目を向けて楽曲を構築していったが、今作では対照的に自身の内側と向き合った。そのなかで今までは異なり、わかりやすい表現、すぐ伝わる「言語」を意識して制作したものの、その過程でオブラートに包んでいたものが「露呈」され、以前よりも尖がった楽曲になったという。なぜ、そのようになったのか。その背景にはこれまでになかった気持ちの変化があった。今作の制作背景や上京後12年のなかで感じる東京などの話題を通して彼女、そして本作の本質に迫った。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

死神はトランプのジョーカーのイメージにも

――今作『クソカワPARTY』は昨年リリースした『MUTEKI』という過去を振り返った弾き語りアルバムが影響していたりしますか。

 『MUTEKI』に関しては中野サンプラザで今年1月に開催した『超歌手大森靖子MUTEKI弾語りツアー』をやることを前提に作りましょうという流れの中で制作したアルバムだったので、今作への影響は少ないと思います。でも、今回はアルバムを出しましょうという段階で既に「死神」という曲ができまして。そこからどういうアルバムにしようかというところから始まりました。

――まさに1曲目の「死神」から出来ていったわけですね。今回はわかりやすいものにしようと制作に入ったみたいですが。

 そうなんです。でも、結果的にオブラートに包んでいたエグいものが露呈されて、前より尖がってしまったという印象があります(笑)。今までも隠していたわけではないんですけど、今回は文学的表現とかではなく何を言っているのかをわかりやすく、すぐ伝わる言語に直すとういうことを意識して書いていたのですが、より尖がってしまったという。これ大丈夫かなみたいな(笑)。昨年リリースしたシングル「draw (A) drow」とは違う作り方ですね。

――その「死神」はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。


 辛いことがあって出来ました。もう精神的に限界というところで生まれた作品です。そういう時に曲を作ったことが今までなかったんです。自分は「こうなんだ!」ということを書こうと思って。自分を曲にしたことで救われる感覚がありました。歌うたびに救われていく感覚。それはライブでも実感していました。

 今までは自分のパーソナルな部分は絶対に伝わらなくてもいいと思っていたし、自分のものだから自分が大事にすればいいと思っていたわけです。でも、その大事にしている部分を見せたら、大事にしようと思ってくれる人もいると思いました。それをしっかり曲として書くことによって、その人その人の中身は違っても、「大事にする」というところに共感していれば、(パーソナルな部分をむき出しにしても)守られているという感覚が、ライブをしていくなかでありました。


――新たな感覚が生まれたわけですね。作品のカラーとしてはどのような立ち位置にあるのでしょうか。

 作品ごとにベクトルは内向きであるか外向きであるかというバランスは毎回順序立てて考えています。3枚目の『kitixxxgaia』が外向きだったので、なので今回は内側に向いた作品にしようと思いました。例えば前回は衣装が白だったので今回は黒とか、対照的になるようにしています。

――タイトルにもなっている死神は大森さんはどう捉えているのでしょうか。

 なににでも死神というふうに見えているのではないかなと思っています。Aさんが死ぬ瞬間にBさんがいたら、そばにいたBさんが死神に見えるかもしれないじゃないですか? 死に際に限らず、そういう誤解って世の中には往々にあるなと思いました。そう見えているんであればそれでいいやと、それを全うできる仕事を探すべきだなというところに持っていければいいなと思いました。

 あと死神は鎌を持って黒い衣服を着ているというところが、トランプのジョーカーのイメージにも通じていると思います。ネットの都市伝説みたいな話なんですけど、ジョーカーの起源をたどっていくとジョーカーは昔の晩餐会などで、政治的な流れを決めていたみたいです。身分や言語も関係なく全員と話ができる人、合わせられる人がジョーカーだったみたいです。なので、人の裏でコソコソと話をしてしまえば世界が牛耳れる人だと思うんです。

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最終更新:7/12(木) 16:01
MusicVoice

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