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999始発駅被災、松本零士氏贈った壁画が児童激励

7/12(木) 9:51配信

日刊スポーツ

 西日本豪雨の被災地では各地で気温30度を超える中、安否不明者の必死の捜索が続いた。11日、広島県呉市で新たに4遺体が発見されるなど、共同通信の集計で死者は12府県で計174人、安否不明者は計90人に上る。豪雨では、漫画家松本零士氏(80)が幼少時代を過ごした愛媛県大洲町も大きな被害を受けた。今も断水が続く中、松本さんが母校に寄贈した「銀河鉄道999」の壁画が被災した子どもたちに元気を与えている。

【写真】漫画家の松本零士氏

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 「『銀河鉄道999』の始発駅」として知られる町も被災した。松本零士氏の両親の故郷である大洲市。肱川(ひじがわ)などの氾濫で4600世帯以上が浸水し、多くの世帯で断水が続いている。松本氏が戦時中の疎開で過ごした母方の実家のある同市新谷(にいや)地区も、多くの家が水没。松本氏が1~2年生の時に通った新谷(にいや)小学校も、地域の公民館も、避難所となっている。

 公民館に夫(44)と高校生2年の次女と避難した同地区の女性(44)は「7日に浸水が始まり、近所の高齢の方を先にボートで救助してもらった。待つうちにダムの放水で一気に増水した。塀を登って数メートル地面が高い駐車場に逃げた」と振り返る。家には2メートルほどの高さまで泥の跡が付いていた。11日は多くの家が家具やアルバムなどを家の外に出し、片付けに追われた。

 松本氏が12年7月に寄贈した巨大な「999」の壁画が玄関にある新谷小の中塚健一教頭(53)は「155人の児童のうち1割ほどが家屋浸水の被害に遭った。8割以上の家で断水が続いている」と話す。毎年訪れる松本氏が選考した児童による「999」の絵画が展示されている公民館ロビーには、支援物資が積みあげられ、昨年11月に完成したばかりのメーテルと999のモニュメントが立つ玄関前では、陸上自衛隊の給水車が止められ、住民に水を配っている。

 新谷地区を含め、大洲市内は大規模断水のため、泥だらけの自宅や家財道具の泥を洗い流すこともままならない状況が続く。復旧には、まだまだ長い時間がかかる見通しだ。それでも、授業が再開された新谷小の児童たちは、元気に学校から出てきて家路に着いた。「時間は夢を裏切らない」。つらくても諦めない。松本氏が「999」で描いた思いが、いまこそ、新谷の子どもたちを励ましている。【清水優】

 ◆999の始発駅 松本零士氏の代表作「銀河鉄道999」は、松本氏が大洲市新谷に疎開していた当時、沿線を走る蒸気機関車の記憶が作品の誕生に影響を与えたとされる。同地区では「999の始発駅」として、町おこしをスタート。14年には、新谷小学校に松本氏を迎えて「出発式」のイベントも開いた。

最終更新:7/12(木) 10:01
日刊スポーツ

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