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データ流通促進へ情報信託銀行とデータ取引市場を--データ流通推進協議会

7/12(木) 7:00配信

ZDNet Japan

 6月14日、「ガートナー データ&アナリティクスサミット2018」のゲスト基調講演では、一般社団法人データ流通推進協議会で理事を務める眞野浩氏が登壇した。「データ流通社会の実現にむけた産学官の連携と取り組み-データ取引市場の実態及びデータ流通推進協議会の活動を交えて」と題して講演した。

 眞野氏が理事を務める一般社団法人データ流通推進協議会の役割は、日本中に点在するあらゆるデータを、企業や業界の垣根を超えて流通、連携させるための仕組みやルール作りを推進すること。内閣府が提唱する「Society 5.0」や、経済産業省が提唱する「Connected Industries」の実現を目的とする。

 協議会設立の背景には、各省庁による、データの流通を促進するための活動がある。内閣官房IT室の「AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ中間取りまとめ」、経済産業省と総務省の「データ流通プラットフォーム間の連携を実現するための基本的事項」、総務省の「データ取引市場を運営する者などに関するルールの在り方について検討」だ。

 省庁のレポートが出そろったことを受けて、2017年6月に有志企業で協議会の立ち上げ作業を始め、2017年11月に一般社団法人を設立した。データを流通させるための活動として、データ流通事業者の運用基準と技術基準の策定、事業者の認証と監査、関係省庁へのロビーイング活動、その他の活動を掲げる。

 6月現在の会員数は102で、正会員は法人が54で個人が1。賛助会員は法人が321で個人が2。特別会員は法人が14である。業種は多岐にわたる。

データの流通には情報信託銀行とデータ取引市場が必須

 講演の中盤以降では、ビッグデータを市場で流通させるために世の中で起こっている動きと、関連省庁の取り組みを説明した。

 前提として、インターネットにつながるデバイスが急増しており、データの量が増えている。こうしたデータを活用することによって国民の生活が向上する。各省庁において、データを流通させる取り組みが加速している。

 眞野氏は、データを流通させるために必要な機能として、“情報信託銀行”と“データ取引市場”の2つを挙げる。

 情報信託銀行は、個人のプライバシーに関するデータを流通させて活用するために必要な機関だ。「特定の個人がコンビニエンスストアで何を買ったのか」といったデータを流通させて活用できるようにする。

 個人は、店舗での購買履歴といった自分に関するプライバシデータを、情報信託銀行に預ける。企業は、個人が情報信託銀行に預けたデータを活用する。個人は、見返りを還元してもらう。

 データ取引市場は、データを預かる機関とデータを生成する機関との間で、直接取引ではなく市場を介してデータを受け渡せるようにするためのもの。協議会では現在、市場でデータを取引するためのルール作りに取り組んでいる。「証券取引所と同じモデルを作る」(眞野氏)

企業の垣根を超えて広くリアルタイムに活用してもらう仕掛けが必要

 企業が生成するデータについては、まだ流通するまでには至っていない現状もある。眞野氏は、現在のIoTは“イントラネットオブシングス”だと指摘する。ブルドーザーにセンサを付けたり、飛行機のエンジンにセンサを付けたりなど、それぞれが縦割りで独立している。

 サイロの中だけでデータを活用するのではなく、企業や業界を超えてデータを流通させれば役に立つと眞野氏は言う。自分が設置したデバイスのデータを自分で収集して活用するだけでは用途が広がらず、付加価値サービスが生まれないからだ。

 データを流通させる際には、生データをリアルタイムに活用することも重要になる。データ流通の仲介業者がいったんデータを収集した後で統計データを提供するというスタイルでは、データをリアルタイムに活用できない。データをリアルタイムに活用するための仕組み作りが重要だという。

 データ取引の安全性については、米国の連邦取引委員会(FTC)がIoTにおける消費者のプライバシとセキュリティリスクへの企業の対応を促すためのベストプラクティスとしてまとめたレポート「FIIPS」(Fair Information Practice Principles)が役立つとした。

 講演の後半では、欧州における個人情報の取り扱いに関する法律であるGDPR(EU一般データ保護規則)について解説した。

最終更新:7/12(木) 7:00
ZDNet Japan