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科学論文にご用心、大半は誤り 専門家が警鐘

7/13(金) 15:46配信

AFP=時事

【AFP=時事】数年前、2人の研究者が、あるクッキングブックの中で最も使用されている50種類の材料を取り上げ、がんのリスクや予防に関連付けられているものがいくつあるかを科学雑誌に掲載されたさまざまな論文を基に研究した。その結果は、塩や小麦粉、パセリ、砂糖など、50種類中40種類に及んだ。

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「私たちが食べるものはすべて、がんに関係しているのではないか?」。研究者たちは2013年、自分たちの発見に基づく論文を発表し、そう疑問を呈した。

 彼らの調査は、科学界において認識されてはいるものの依然、起こり続けている問題に触れていた。それは、一般化された結論を支持するのに十分な量の試料を収集して行われた研究があまりに少ないということだ。

 だが研究者らへのプレッシャーや学術誌間の競争、革新的な発見を告げる新たな論文をメディアが常に渇望していることなどが原因で、こうした記事は掲載され続けている。

 科学研究に関する専門家で米スタンフォード大学(Stanford University)医学部のジョン・イオアニディス(John Ioannidis)教授は「発表される論文の大半は、たとえ真面目な雑誌に掲載されたものであっても、かなりずさんだ」と語った。

 質の悪い論文に手厳しい同氏は、2005年に書籍「Why Most Published Research Findings Are False(なぜ発表された研究結果の大半は誤りなのか)」を出版し、大きな話題となった。だが以降、改善は限定的にしか見られていないと同氏は話す。


■再現研究で同じ結果はまれ

 一部の雑誌は現在、論文の執筆者らに対し研究計画書(プロトコル)の事前登録と未加工データの提供を求めており、これによってある結論に到達するために研究者らが結果を不正操作することがより困難になったと主張している。こうした方法を取ることで、論文を著者以外の人々が検証したり再現したりすることも可能になる。

 というのも、研究を再現した場合に同じ結果が得られることはまれだからだ。2015年に実施された大規模な試験では、心理学の3大専門誌に掲載された100件の論文のうち再現に成功したのはわずか3分の1だった。

 イオアニディス氏は、「生物医科学全体やその他の分野でも、統計学や方法学に関する十分な訓練を科学者らは受けていない」と指摘。中でも、「ダイエットは生物医学研究の中で最もひどい分野の一つだ」と述べ、さまざまな食品産業との利害衝突だけが原因ではないと説明した。この分野では、研究者らが出発点となる仮説すら立てずに、巨大なデータベースの中で相関性をやみくもに探していることもあるという。

 最も権威ある医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」は6月、2013年に話題となった心疾患に対する地中海式ダイエットの有効性に関する論文の撤回を余儀なくされた。理由は、すべての被験者が無作為に選択されたわけではなく、結果が下方修正されたためだ。

 では、日々掲載される多数の論文の中から、われわれは何を選択すればいいのだろうか?

 イオアニディス氏は、次のような問いかけを推奨している。結果が得られたのは1回のみの研究か、あるいは複数回か?研究規模は小さいか大きいか?無作為実験か?出資者は?研究者らに透明性はあるか?

 こうした警戒心は、質の悪い研究論文が、まったく効果がなかったり有害であったりさえする治療法の採用につながってきた医療分野では必須だ。

 科学論文の撤回を監視するブログ「リトラクション・ウオッチ(Retraction Watch)」の共同創設者イバン・オランスキー(Ivan Oransky)氏によると、こうした問題はメディア側からも生じている。メディアには、科学研究に内在する不確かさをより詳しく説明し、扇情主義にくみしない姿勢が求められるという。

 AFPの取材に応じたオランスキー氏は「私たちが特に話題にしているのは、コーヒーやチョコレート、赤ワインに関する途絶えることのないずさんな論文の数々だ」「なぜわれわれは、今もああいう論文を書き続けているのか?もう終わりにしなければならない」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News

最終更新:7/13(金) 19:46
AFP=時事

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